小説
桐島、部活やめるってよ
集英社(集英社文庫)/2012年/256ページ/本体476円/ISBN 978-4-08-746817-5
初出:「小説すばる」(抄録)2009年12月号
翻訳出版はありません。
バレーボール部の「頼れるキャプテン」桐島が、突然部活をやめた。それがきっかけとなって、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。野球部、バレーボール部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。 部活をキーワードに、いろんなところで繋がっていく5人の物語。
この小説を読みだすと、まず、文章のリズムと語感に引き込まれる。さらに、ちりばめられた比喩が新鮮なイメージを喚起してくれることに気づくだろう。比喩表現の多い文章は、下手をするとうっとうしく読みづらいものになる。ところが、この小説 の場合、ちりばめられた比喩が、17歳の高校生たちをとりまく世界の空気と彼らの揺らぐ気持ちを鮮やかに伝えてくれる。いきいきとした言葉の連なりがJ-POPの歌を聴いているようにも感じられ、心地よいメロディーにのって若者たちが息づいている光 景がありありと見えてくる。
それだけではない、一人ひとりの抱く苛立ちや喜びを描きながら、巧みな構成で、ひとつの学校に通う高校生たちのリアルな姿を立体的に浮き彫りにしていく。20歳のデビュー作とは思えないほど完成度の高い作品なのだ。青春小説の名作がここに誕生した。(MT)
この小説を読みだすと、まず、文章のリズムと語感に引き込まれる。さらに、ちりばめられた比喩が新鮮なイメージを喚起してくれることに気づくだろう。比喩表現の多い文章は、下手をするとうっとうしく読みづらいものになる。ところが、この小説 の場合、ちりばめられた比喩が、17歳の高校生たちをとりまく世界の空気と彼らの揺らぐ気持ちを鮮やかに伝えてくれる。いきいきとした言葉の連なりがJ-POPの歌を聴いているようにも感じられ、心地よいメロディーにのって若者たちが息づいている光 景がありありと見えてくる。
それだけではない、一人ひとりの抱く苛立ちや喜びを描きながら、巧みな構成で、ひとつの学校に通う高校生たちのリアルな姿を立体的に浮き彫りにしていく。20歳のデビュー作とは思えないほど完成度の高い作品なのだ。青春小説の名作がここに誕生した。(MT)
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