小説
ひとり日和
河出書房新社(河出文庫)/2010年/208ページ/本体520円/ISBN 978-4-309-41006-7
初出:「文藝」2006年秋号
本作品は中国語、クロアチア語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ベトナム語に翻訳されています。
人間は「ひとり」で生きてゆくことが基本。そんな思想によって肩ひじを張らずに、生きている現代女性の物語である。
主人公は、高校を卒業後、とりあえずフリーターとして暮らしている女性、三田知寿である。彼女は、教師である母親が海外研修となったとき、一人暮らしの遠い親戚、71歳の吟子さんのもとに身を寄せる。
そこで年のはなれた2人の女性の「ひとり暮らし」の同居が始まる。吟子さんの家は、私鉄駅のホームがすぐ近くに見えるが、奇妙な道すじによって駅前の再開発から取り残されていた。駅には、毎朝人びとが詰め込まれて新宿駅へと向かうが、その人びとを縁側からぼんやりと見送ることができる位置にある。その家は、「ひとり暮らし」を続ける2人と現代社会との距離の取り方を象徴しているのだろう。
主人公の母親は、大学への進学を勧めたが、「わたしはすぐにお金のことを考え始めてしま」い、負い目をできるだけ少なくしようと、女親からも社会からも一歩身を引いて立とうとする。新しい恋人が出来ても、始めから終わりをイメージしている。
ここには、孤独とはちがう、現代の若者の「ひとり」ずつの生活と心境が描かれている。(MK)
主人公は、高校を卒業後、とりあえずフリーターとして暮らしている女性、三田知寿である。彼女は、教師である母親が海外研修となったとき、一人暮らしの遠い親戚、71歳の吟子さんのもとに身を寄せる。
そこで年のはなれた2人の女性の「ひとり暮らし」の同居が始まる。吟子さんの家は、私鉄駅のホームがすぐ近くに見えるが、奇妙な道すじによって駅前の再開発から取り残されていた。駅には、毎朝人びとが詰め込まれて新宿駅へと向かうが、その人びとを縁側からぼんやりと見送ることができる位置にある。その家は、「ひとり暮らし」を続ける2人と現代社会との距離の取り方を象徴しているのだろう。
主人公の母親は、大学への進学を勧めたが、「わたしはすぐにお金のことを考え始めてしま」い、負い目をできるだけ少なくしようと、女親からも社会からも一歩身を引いて立とうとする。新しい恋人が出来ても、始めから終わりをイメージしている。
ここには、孤独とはちがう、現代の若者の「ひとり」ずつの生活と心境が描かれている。(MK)
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