文化・歴史
復興文化論
青土社/2013年/420ページ/本体2200円/ISBN 978-4-7917-6733-5
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若き批評家が、日本文化の本質をまったく新しい視点から論じる。日本文化に創造性が溢れ出すのは、戦争やカタストロフの直後の復興期であるというのが、その主張の骨子だ。古代最大の内乱「壬申の乱」(672年)や、中世への過渡期で起こった「源氏と平家の戦い」から、第二次大戦敗戦に至るまで。そこには常に、大動乱の後、新たな文化の興隆や社会の刷新が認められるというのだ。著者によれば「復興期の精神」こそが日本の歴史を導き、支えてきたのである。
そうしたスケールの大きい発想に基づき、最古の和歌集『万葉集』の歌人から、鎌倉時代の軍記物語『平家物語』を経て、現代の作家や宮崎駿(1941-)のアニメまでが縦横に論じられる。何とも大胆にして刺激的な日本文化史の試みだ。王朝の滅亡を幾度も経験する中で強靭な文化を作り出してきた中国の歴史との比較も興味深い。
直接に論じられるわけではないが、執筆の動機には3.11のカタストロフがあったのだろう。危機こそ再生の好機として生かす能力が、たしかに日本には備わっているのかもしれないと思わせる。読者の胸に希望を湧き上がらせるだけのエネルギーを持つ快著である。(NK)
そうしたスケールの大きい発想に基づき、最古の和歌集『万葉集』の歌人から、鎌倉時代の軍記物語『平家物語』を経て、現代の作家や宮崎駿(1941-)のアニメまでが縦横に論じられる。何とも大胆にして刺激的な日本文化史の試みだ。王朝の滅亡を幾度も経験する中で強靭な文化を作り出してきた中国の歴史との比較も興味深い。
直接に論じられるわけではないが、執筆の動機には3.11のカタストロフがあったのだろう。危機こそ再生の好機として生かす能力が、たしかに日本には備わっているのかもしれないと思わせる。読者の胸に希望を湧き上がらせるだけのエネルギーを持つ快著である。(NK)
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