
東京の暮らし、地方の暮らし
ひとり暮らし
新潮社(新潮文庫)/2010年/237ページ/本体605円/ISBN 978-4-10-126623-7
本作品は中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に翻訳されています。
谷川俊太郎は半世紀にわたって、もっとも柔軟に日本語を活用し続けてきた現代詩人である。身近なものを見つめて書く短い文章の正確さ、洗練の度合いも、さすがというほかない。
『ひとり暮らし』は、若い頃は男女の一対が人間社会の基本単位と考えていたこの詩人が、三度の結婚と離婚を経て単身生活を営み始めた、60代後半の日々の雑感を伝えるエッセー集だ。後半は1999年から2001年にかけての日記形式をとる。
東京都心から少しだけ離れた杉並区内の家を拠点に、若い詩人との懇談や展覧会、映画館へと気軽に出かけ、欧州の友人宅へも足を延ばして食卓を囲む。これほど軽快に暮らしを楽しむ、健康な独居老人もめずらしい。たまにはラジオに耳を傾け、「寂しさ」を想う夜もあるけれど。
<私たちは帰属出来る幻の共同体を求めて携帯電話をかけまくり、電子メールで埒もないお喋りに精を出し、ロックコンサートに群がり、居酒屋にたむろし、怪しげな宗教に身を投じる。><「和」で生きてきた私たちは、「個」の孤独に耐えられないのだ。>同時代の社会と世界に思いをめぐらせるこの詩人の考察は、なんと的確であることか。(OM)
『ひとり暮らし』は、若い頃は男女の一対が人間社会の基本単位と考えていたこの詩人が、三度の結婚と離婚を経て単身生活を営み始めた、60代後半の日々の雑感を伝えるエッセー集だ。後半は1999年から2001年にかけての日記形式をとる。
東京都心から少しだけ離れた杉並区内の家を拠点に、若い詩人との懇談や展覧会、映画館へと気軽に出かけ、欧州の友人宅へも足を延ばして食卓を囲む。これほど軽快に暮らしを楽しむ、健康な独居老人もめずらしい。たまにはラジオに耳を傾け、「寂しさ」を想う夜もあるけれど。
<私たちは帰属出来る幻の共同体を求めて携帯電話をかけまくり、電子メールで埒もないお喋りに精を出し、ロックコンサートに群がり、居酒屋にたむろし、怪しげな宗教に身を投じる。><「和」で生きてきた私たちは、「個」の孤独に耐えられないのだ。>同時代の社会と世界に思いをめぐらせるこの詩人の考察は、なんと的確であることか。(OM)

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