仕事
生活の設計
新潮社/2001年/絶版
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食肉を作るために牛や豚などの家畜を解体する屠殺業が人間の生活にとってなくてはならない重要な仕事であることは言うまでもないが、現代社会では、まるで触れてはいけないものであるかのように、日常生活の表面からはむしろ隠されるように存在している。したがって、文学においても題材として取り上げられることは珍しい。
佐川光晴は作家としてデビューする前に、埼玉県の食肉加工場で自ら働いた経験があり、その経験をもとに『生活の設計』を書いた。作者とほぼ等身大と思われる小説の主人公は25歳のとき、勤めていた会社が倒産したことをきっかけに、屠殺場に就職し、妻と共稼ぎで子供を育てながら、地道に働いて仕事を身につけ、帰宅後は家事にも励むという日常生活を送っている。彼は、自分の職業を周囲の人びとに公言することを時々ためらわざるを得なくなるし、そもそも、自分がなぜこの仕事を選んだのかはっきり説明することもできない。しかし、これが自分にとって現時点の「唯一の職業」なのだ、というある意味では誇らしい宣言で小説は終わる。
屠殺場で働く主人公の日常という題材そのものが興味深いのはもちろんだが、主人公とその妻、妻の両親、そして友人や同僚などとの関係がきめ細かく描かれており、自分なりの生き方を求めて模索する現代の若い世代の姿が生き生きと浮かび上がってくる。決して題材の新奇さのみに頼った作品ではない。(NM)
佐川光晴は作家としてデビューする前に、埼玉県の食肉加工場で自ら働いた経験があり、その経験をもとに『生活の設計』を書いた。作者とほぼ等身大と思われる小説の主人公は25歳のとき、勤めていた会社が倒産したことをきっかけに、屠殺場に就職し、妻と共稼ぎで子供を育てながら、地道に働いて仕事を身につけ、帰宅後は家事にも励むという日常生活を送っている。彼は、自分の職業を周囲の人びとに公言することを時々ためらわざるを得なくなるし、そもそも、自分がなぜこの仕事を選んだのかはっきり説明することもできない。しかし、これが自分にとって現時点の「唯一の職業」なのだ、というある意味では誇らしい宣言で小説は終わる。
屠殺場で働く主人公の日常という題材そのものが興味深いのはもちろんだが、主人公とその妻、妻の両親、そして友人や同僚などとの関係がきめ細かく描かれており、自分なりの生き方を求めて模索する現代の若い世代の姿が生き生きと浮かび上がってくる。決して題材の新奇さのみに頼った作品ではない。(NM)
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