
四国
四万十川 第1部 あつよしの夏
河出書房新社(河出文庫)/1991年/204ページ/本体500円/ISBN 978-4-309-40295-6
翻訳出版はありません。
小学校三年生の篤義は5人兄弟の次男で、家は高知県の四万十川沿いの山里にある。両親は小さな食料品店を営んでおり、子供たちは家の仕事を手伝いながら、大自然の中でのびのびと暮らしている。
ある日、篤義が可愛がっている猫のキィが赤ちゃんを産んだ。猫の出産は何回も経験したが、そのつど母親のスミは間引きをして、2匹だけを残していた。猫を飼い過ぎると、商売の邪魔になるからだ。今回は3匹生まれたから、もっとも体の小さいクロが捨てられるかもしれない。弱いものに同情する篤義は秘密の行動を起こし、物語は意外な結末を迎えた。
この大河小説は6巻あり、第1部「あつよしの夏」は「くろい子猫」と「うばが谷の大蛇」の二章からなる。1988年に世に出た後、大きな反響を呼んで、続編が次々と刊行された。1996年に完結編の第6部が出版され、足かけ10年の歳月で、6部からなる巨編はようやく完成した。
四国の美しい自然が季節の移り変わりとともに色鮮やかにスケッチされており、刻一刻と変わる山の表情や川の息遣いが、水辺や谷間でこだまする少年少女の笑い声や、そこに生きる人びとの心の動きに合わせて生き生きと描かれている。四万十川のほとりでの生活体験がなければ、決して書けないであろう。豊かな大自然を背景に、思春期を目前とした少年の心理や主人公たちを取り巻く暖かい人間関係も伸びやかな筆遣いで表現されている。(CK)
ある日、篤義が可愛がっている猫のキィが赤ちゃんを産んだ。猫の出産は何回も経験したが、そのつど母親のスミは間引きをして、2匹だけを残していた。猫を飼い過ぎると、商売の邪魔になるからだ。今回は3匹生まれたから、もっとも体の小さいクロが捨てられるかもしれない。弱いものに同情する篤義は秘密の行動を起こし、物語は意外な結末を迎えた。
この大河小説は6巻あり、第1部「あつよしの夏」は「くろい子猫」と「うばが谷の大蛇」の二章からなる。1988年に世に出た後、大きな反響を呼んで、続編が次々と刊行された。1996年に完結編の第6部が出版され、足かけ10年の歳月で、6部からなる巨編はようやく完成した。
四国の美しい自然が季節の移り変わりとともに色鮮やかにスケッチされており、刻一刻と変わる山の表情や川の息遣いが、水辺や谷間でこだまする少年少女の笑い声や、そこに生きる人びとの心の動きに合わせて生き生きと描かれている。四万十川のほとりでの生活体験がなければ、決して書けないであろう。豊かな大自然を背景に、思春期を目前とした少年の心理や主人公たちを取り巻く暖かい人間関係も伸びやかな筆遣いで表現されている。(CK)

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