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近畿

骸骨ビルの庭

宮本 輝

講談社(講談社文庫)/2011年/上:313ページ/本体600円/ISBN 978- 4-06-277021-7、下:315ページ/本体600円/ISBN 978-4-06-277022-4

翻訳出版はありません。

 時は1994年、舞台は大阪の十三という地区に立つ「骸骨ビル」と呼ばれる老朽化した建物。取り壊して再開発する予定が決まっているのに、ここに住みついて出ていこうとしない住人が十数人残っている。彼らを立ち退かせるという任務を負って、矢木沢という47歳の男が管理人としてやってくるのが、物語の発端である。そこで彼が出会ったのは、私立探偵、彫金職人、ダッチワイフ製造業者、おかまバーのホステス、暴力団の若頭など、少し怪しげな連中ばかりだが、知り合ってみると人情味豊かな下町育ちの普通の人たちだ。しかし彼らは共通の過去を背負っていた。彼らはみな戦災孤児であり、終戦直後の混乱期に骸骨ビルを相続した青年とその親友に拾われ、この建物で育てられたのだった。二人の男たちがそうして育てた戦災孤児は数十人にのぼる。それは無償の善意による行為だった。矢木沢はやがて住人たちの人間くささに魅了され、彼らの回想を通じて、第二次世界大戦の終わりから1990年代に至る日本の現代史の流れを辿ることになる。これはまた、生命力あふれる大阪という町そのものが主役を演ずる物語でもあるといえるだろう。人物造形が鮮やかで、プロットは一度読み始めたら止められないほど面白く、読者は骸骨ビルの歴史に秘められた謎を追いながら、戦後の大阪という町そのものの活気あふれる雰囲気をたっぷり味わうことができる。(NM)
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宮本 輝

宮本 輝

1947年兵庫県生まれ。1977年「泥の河」で太宰治賞を、1987年「螢川」で芥川賞を受賞。他に、『青が散る』『流転の海』等。テレビドラマ化、映画化された作品も多数。2007年には『宮本輝全短篇』が出版される。2010年『骸骨ビルの庭』で第13回司馬遼太郎賞受賞。同年紫綬褒章受章。

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