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文化

「かわいい」論

四方田 犬彦

筑摩書房(ちくま新書)/2006年/208ページ/本体740円/ISBN 978-4-480- 06281-9

本作品は中国語(繁体字、簡体字)、韓国語に翻訳されています。

 キティちゃんやポケモン、セーラームーンなど、世界的な人気を持つ日本のキャラクター商品には「かわいい」という形容詞が冠せられる。この「かわいい」という言葉が何を意味するのか、そしてなぜ日本の「かわいい」キャラクターが人気を持つのかという問題を手がかりに「かわいい」という言葉の意味を歴史的にさかのぼって検証し、日本の文化の根幹にあるものを卓抜に論じている。

 著者によれば、まず「かわいい」の源流が11世紀の『枕草子』にあり、江戸期の歌舞伎や大衆小説を経て、太宰治ら現代の作家にも受け継がれ、独自の美学へと洗練されてきたという。また、「かわいい」の構成要素として、美しさのほかに醜さ、不気味さなどのグロテスクも微妙に交じっていることを指摘している。現代の大学生が「かわいい」をどのように使っているかを、著者が勤務していた明治学院大学や以前に講演を行ったことのある秋田大学の学生を対象としたアンケートをもとに分析したり、「かわいい」文化がどのようにして海外に進出したかの背景を検証するなど興味深い日本文化論となっている。(UY)
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四方田 犬彦

四方田 犬彦

1953年生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学比較文化を学ぶ。映画と文学を中心に、漫画・料理・都市論・現代思想をめぐり批評活動をおこなう。2014年、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。著書に『土地の精霊』『モロッコ流謫』『白土三平論』他。

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