
小説
青春デンデケデケデケ
河出書房新社(河出文庫)/1992年/232ページ/本体490円、ISBN 978-4-309-40352-6
初出:「文藝」1990年12月号
本作品は韓国語に翻訳されています。
地方都市の高校生活を第一人称で描いた小説である。主人公の「ちっくん」こと藤原竹良はロックに目覚め、友達を集めてバンドを組もうと思う。皆でアルバイトをした金で楽器を手に入れ、念願のバンド「ロッキング・ホースメン」を結成した。なにしろ場所は四国の田舎町で、洋楽のことはほとんど知られていない。練習の場所を探すのもひと苦労。幸い、音楽の佐藤先生が部活として認定してくれたので、学校で活動できるようになった。演奏経験のない少年たちは必死に練習をし、ついに知人の開店記念パーティーで演奏する機会を得た。初のステージにはどたばたがあったが、バンドのメンバーたちは貴重な経験を積んだ。学園祭ライブで大成功を収めると、少年たちの高校生活もいよいよ終わりに近づいた。
この小説は1960年代を舞台にしている。発表時期を考えると、青春の思い出話になりかねない。だが、この作品は単に失われた過去への郷愁にふけるだけのものにならなかった。ロックに夢中になった少年たちの情熱が細部の再現を通して生き生きと描かれているからだ。讃岐弁は活気にみなぎった青春を表現するのに生かされ、軽妙な筆致は若さゆえの失敗を愉快な挿話にした。この作品が若者の間に絶大な人気を獲得したのもそのためであろう。日本の高校生たちがどのような小説を好むかを知る上で興味深い小説である。(CK)
この小説は1960年代を舞台にしている。発表時期を考えると、青春の思い出話になりかねない。だが、この作品は単に失われた過去への郷愁にふけるだけのものにならなかった。ロックに夢中になった少年たちの情熱が細部の再現を通して生き生きと描かれているからだ。讃岐弁は活気にみなぎった青春を表現するのに生かされ、軽妙な筆致は若さゆえの失敗を愉快な挿話にした。この作品が若者の間に絶大な人気を獲得したのもそのためであろう。日本の高校生たちがどのような小説を好むかを知る上で興味深い小説である。(CK)

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