
小説
風が強く吹いている
新潮社(新潮文庫)/2009年/672ページ/本体840円/ISBN 978-4-10-116758-9
初出:2006年新潮社より単行本刊行
本作品は中国語(繁体字、簡体字)、韓国語、ベトナム語に翻訳されています。
いまにも崩れそうなボロ・アパートの住人である10人の学生が、ある日、「箱根駅伝」をめざして走りだす。陸上経験者は数人しかいないし、中には、マンガオタクやガリ勉学生など、運動神経とはほど遠いメンバーすらいる。それでも、日本固有の陸上競技である「駅伝」、その中でも国民的な注目度も高い「箱根」という夢の舞台をめざして、学生たちはひた走る。
こうした、まったくありえない設定の物語なのに、いつのまにか引き込まれ、熱烈なエールを送りたくなってくるのだ。それは、この作品の4割近くがクライマックスの箱根駅伝の場面にあてられているからだろう。ここでは、各区間を走るランナーの駆け引き、走っている選手とそれをサポートする人たちの活躍など、10人の選手が一丸となって長距離を走り抜けるという「駅伝」の魅力が余すところなく描かれている。そして、山あり谷ありの駅伝という長距離走にふさわしく、一人ひとりの走りに各自の過去や、彼をとりまく仲間たちのことなどがフラッシュバックされていって、しだいしだいに10人の気持ちがひとつになっていくさまが感動的に描かれていくのだ。(MT)
こうした、まったくありえない設定の物語なのに、いつのまにか引き込まれ、熱烈なエールを送りたくなってくるのだ。それは、この作品の4割近くがクライマックスの箱根駅伝の場面にあてられているからだろう。ここでは、各区間を走るランナーの駆け引き、走っている選手とそれをサポートする人たちの活躍など、10人の選手が一丸となって長距離を走り抜けるという「駅伝」の魅力が余すところなく描かれている。そして、山あり谷ありの駅伝という長距離走にふさわしく、一人ひとりの走りに各自の過去や、彼をとりまく仲間たちのことなどがフラッシュバックされていって、しだいしだいに10人の気持ちがひとつになっていくさまが感動的に描かれていくのだ。(MT)

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