アフリカの草原にすむたいくつなキリンは、たいくつなペリカンが郵便配達をはじめたと知り、手紙を書くことにする。文面は「ぼくは アフリカに すむキリンと いいます。ながい 首で ゆうめいです。きみのことを おしえて ください」。そしてペリカンに、地平線の向こうで最初に会った動物に手紙を渡してほしいと頼む。ペリカンは地平線の向こうの海でアザラシの郵便配達に出会い、アザラシはクジラ岬に住むペンギンに手紙を届ける。翌日、今か今かと待つあまり首が5センチも伸びたキリンのところへ、ペリカンが返事を持って戻ってくる。ところが、ペリカンは手紙を受け取った動物の名前を忘れてしまい、「ペリカン」に似た名前だったと言うばかり。一方ペンギンは、首というのがどんなものか知らないので、クジラの先生に聞くがよくわからない。結局キリンとペンギンは、お互いの姿を知らないまま文通を始めることになる。想像する相手の姿がどんどん見当違いになっていくところが愉快で、最後にキリンが、ペンギンの姿をまねてペンギンに会いに行くクライマックスでは、ペンギンとは似ても似つかないキリンの恰好が何ともおかしい。ゆったりしたテンポの文章に飄々とした絵がたっぷりついて、物語を読みはじめたばかりの子どもたちにぴったりの楽しい読み物となっている。動物たちの手紙のやりとりを題材にした続編5冊も刊行中。本書は2018年にドイツ語版がドイツ児童文学賞児童書部門を受賞した。(FY)