1962年に出版された本を文庫にしたもの。日本各地に語り伝えられてきた民話に、劇作家の著者が、はやしことばや会話のかけあいのおもしろさを生かした個性的な語り口で再話した22編を収める。中でも「かにむかし」(サルとカニ)は、とくに人気のあるよく知られた民話。カニが拾った柿の種を庭にまき、せっせと水やりをして育てると、たくさんの実をつける。喜んで実をもごうとするところへ、山からサルがやってきて柿を投げつけたので、カニはつぶれて死んでしまう。すると甲羅の下からたくさんの子ガニが出てきて、親の仇討ちに出かける。道中出会った栗、蜂、牛のフン、はぜ棒(稲を刈って干す時に使う棒)、石臼が次々と仲間に加わり、最後は連携プレーで見事にサルをやっつけるという話で、この1話だけで絵本にもなっている。
また「みそ買い橋」は、炭焼きの長吉が、夢の中で「みそ買い橋」の上に立っていればきっといいことがあると告げられ、その橋の上に5日間も立ってみたが何も起こらない。するとそれを見ていた男が、夢に見たことを真に受けるなんてばかばかしいと笑い、自分も、長吉という男の庭の杉の木の下を掘ると金銀が出るという夢を見た、と教えてくれる。早速、家に戻って杉の木の下を掘ると金銀がざくざく出てきて、長吉は村一番の長者になったという短い話。巻末の「作者のことば」に、ロンドン橋を舞台にしたこれとそっくりな話「スウォファムの行商人」がイギリス民話の中にあるという解説があり、興味深い。(FY)
また「みそ買い橋」は、炭焼きの長吉が、夢の中で「みそ買い橋」の上に立っていればきっといいことがあると告げられ、その橋の上に5日間も立ってみたが何も起こらない。するとそれを見ていた男が、夢に見たことを真に受けるなんてばかばかしいと笑い、自分も、長吉という男の庭の杉の木の下を掘ると金銀が出るという夢を見た、と教えてくれる。早速、家に戻って杉の木の下を掘ると金銀がざくざく出てきて、長吉は村一番の長者になったという短い話。巻末の「作者のことば」に、ロンドン橋を舞台にしたこれとそっくりな話「スウォファムの行商人」がイギリス民話の中にあるという解説があり、興味深い。(FY)