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  • 12歳から
  • 2000年以降

つづきの図書館

柏葉 幸子 作
山本 容子 絵

講談社/2010年/242ページ/ISBN 978-4-06-216010-0

翻訳出版はありません。

 故郷に住む杏おばさんが入院し、同じ町の小さな図書館に司書として勤務することになった桃さんの不思議な体験譚。

 桃さんが図書館へ行くと、絵本から「はだかの王様」が出てきて、「青田早苗ちゃんのつづきが知りたい」と言う。そして、桃さんが杏おばさんのお見舞いに行くと、かばんに入っていた赤い本から王様が飛び出し、ニュースになる。すると、中学生の少年が青田早苗は自分の母だと名乗りをあげる。桃さんが早苗さんに会いに行くと、早苗さんは子どものとき入院し、『はだかの王様』の本に当たり散らしていたことと、優しく看病してくれた義母につらくあたって追い出してしまったことを後悔していると語り、父と「はだかの王様」を重ねていたと言う。こうして王様は早苗ちゃんに会ったが、消えずに桃さんと生活を続ける。加えて本の中から狼、あまのじゃくも出てきて、ある読者のつづきが知りたいと言う。最後に幽霊が出てくるが、この幽霊は、桃さんと彼女の父、そして杏おばさんとかかわりがあることがわかる。

 引っ込み思案で人付き合いがへたな桃さんが、本の登場人物たちの捜索を手伝うことによって、町になじみ、人との交わりを楽しめるようになる過程が興味深い。はだかの王さま以外の登場人物が探している人たちもそれぞれ過去や現在に葛藤を抱えており、人はなぜ、本を読むのかを考えさせられる。また、桃さんが大切な人に宛てた手紙が各章の冒頭に出てきて、それが誰かという謎解きも用意されている。(DY)
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柏葉 幸子

かしわば さちこ
1953年、岩手県に生まれる。大学在学中に講談社児童文学新人賞に入選し作家となる。産経児童出版文化賞、小学館児童出版文化賞、野間児童文芸賞などを受賞。『霧のむこうのふしぎな町』、『帰命寺横丁の夏』、『岬のマヨイガ』、『ぼくと母さんのキャラバン』、『王様に恋した魔女』など多くのファンタジー作品がある。

山本 容子

やまもと ようこ
1952年、埼玉県に生まれる。銅版画家。銅版画で数多くの書籍、挿画を手がける。講談社出版文化賞ブックデザイン賞、京都美術文化賞など受賞。作品集に『Lの贈り物』、『展覧会の展覧会』、著作に『グリーティング』、絵本に『犬のルーカス』、『おこちゃん』、『チューリップ畑をつまさきで』、『デューク』(江國香織/文)などがある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社講談社
国際ライツ事業部

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