故郷に住む杏おばさんが入院し、同じ町の小さな図書館に司書として勤務することになった桃さんの不思議な体験譚。
桃さんが図書館へ行くと、絵本から「はだかの王様」が出てきて、「青田早苗ちゃんのつづきが知りたい」と言う。そして、桃さんが杏おばさんのお見舞いに行くと、かばんに入っていた赤い本から王様が飛び出し、ニュースになる。すると、中学生の少年が青田早苗は自分の母だと名乗りをあげる。桃さんが早苗さんに会いに行くと、早苗さんは子どものとき入院し、『はだかの王様』の本に当たり散らしていたことと、優しく看病してくれた義母につらくあたって追い出してしまったことを後悔していると語り、父と「はだかの王様」を重ねていたと言う。こうして王様は早苗ちゃんに会ったが、消えずに桃さんと生活を続ける。加えて本の中から狼、あまのじゃくも出てきて、ある読者のつづきが知りたいと言う。最後に幽霊が出てくるが、この幽霊は、桃さんと彼女の父、そして杏おばさんとかかわりがあることがわかる。
引っ込み思案で人付き合いがへたな桃さんが、本の登場人物たちの捜索を手伝うことによって、町になじみ、人との交わりを楽しめるようになる過程が興味深い。はだかの王さま以外の登場人物が探している人たちもそれぞれ過去や現在に葛藤を抱えており、人はなぜ、本を読むのかを考えさせられる。また、桃さんが大切な人に宛てた手紙が各章の冒頭に出てきて、それが誰かという謎解きも用意されている。(DY)
桃さんが図書館へ行くと、絵本から「はだかの王様」が出てきて、「青田早苗ちゃんのつづきが知りたい」と言う。そして、桃さんが杏おばさんのお見舞いに行くと、かばんに入っていた赤い本から王様が飛び出し、ニュースになる。すると、中学生の少年が青田早苗は自分の母だと名乗りをあげる。桃さんが早苗さんに会いに行くと、早苗さんは子どものとき入院し、『はだかの王様』の本に当たり散らしていたことと、優しく看病してくれた義母につらくあたって追い出してしまったことを後悔していると語り、父と「はだかの王様」を重ねていたと言う。こうして王様は早苗ちゃんに会ったが、消えずに桃さんと生活を続ける。加えて本の中から狼、あまのじゃくも出てきて、ある読者のつづきが知りたいと言う。最後に幽霊が出てくるが、この幽霊は、桃さんと彼女の父、そして杏おばさんとかかわりがあることがわかる。
引っ込み思案で人付き合いがへたな桃さんが、本の登場人物たちの捜索を手伝うことによって、町になじみ、人との交わりを楽しめるようになる過程が興味深い。はだかの王さま以外の登場人物が探している人たちもそれぞれ過去や現在に葛藤を抱えており、人はなぜ、本を読むのかを考えさせられる。また、桃さんが大切な人に宛てた手紙が各章の冒頭に出てきて、それが誰かという謎解きも用意されている。(DY)