樹里が11歳の誕生日に、親戚の「徳田のジジイ」から「生きている恐竜」だと言われてもらったのは、じつはイグアナだった。増築したサンルームで飼ってほしいと言われ、樹里は反対するが、飼育係にされてしまう。サンルームは、パパが読書し、ママが植物を育てるためにつくったのだが、パパは、このジジイが理事長をつとめる私立学校の教員なので拒否できないのだ。
樹里は朝早く起きて、特製サラダを作り、「ヤダモン」と名づけたイグアナに持っていかなくてはならない。次々に事件も起こる。餌をやり忘れると、ヤダモンは本も鉢植えもカーテンもめちゃめちゃにしてしまう。ヤダモンの具合が悪そうなときは、獣医をさがして走り回らないといけない。親はけんかをするようになり、樹里がヤダモンを捨てようと夜中に出ていったこともある。しかも樹里は学校で「イグアナ女」と言われて、からかいの対象になる。
しかし、一家はだんだんとヤダモンに慣れ、親しみの気持ちを持つようになっていった。「徳田のジジイ」からイグアナを返してくれと言われると、これまで何につけてもずっと我慢し続けていたパパが「くたばっちまえ。クソジジイ!」と思わずさけんでしまう。パパは仕事をクビになるのだが、一家は、「あくせくしたり、心配したり、悲しんだり、いらいらしたりしない。人間とまるでちがう生き物。のんびりと、むかしむかしの古い緑の夢の中に生きている生き物」のイグアナ、ヤダモンを1つの大切な命と認めて、共存することにしたのだ。
シンプルながらあたたかい挿し絵の入ったユーモアたっぷりの文章で、ペットについて、命について、異種との共生について、いろいろなことを考えさせてくれる。(SY)
樹里は朝早く起きて、特製サラダを作り、「ヤダモン」と名づけたイグアナに持っていかなくてはならない。次々に事件も起こる。餌をやり忘れると、ヤダモンは本も鉢植えもカーテンもめちゃめちゃにしてしまう。ヤダモンの具合が悪そうなときは、獣医をさがして走り回らないといけない。親はけんかをするようになり、樹里がヤダモンを捨てようと夜中に出ていったこともある。しかも樹里は学校で「イグアナ女」と言われて、からかいの対象になる。
しかし、一家はだんだんとヤダモンに慣れ、親しみの気持ちを持つようになっていった。「徳田のジジイ」からイグアナを返してくれと言われると、これまで何につけてもずっと我慢し続けていたパパが「くたばっちまえ。クソジジイ!」と思わずさけんでしまう。パパは仕事をクビになるのだが、一家は、「あくせくしたり、心配したり、悲しんだり、いらいらしたりしない。人間とまるでちがう生き物。のんびりと、むかしむかしの古い緑の夢の中に生きている生き物」のイグアナ、ヤダモンを1つの大切な命と認めて、共存することにしたのだ。
シンプルながらあたたかい挿し絵の入ったユーモアたっぷりの文章で、ペットについて、命について、異種との共生について、いろいろなことを考えさせてくれる。(SY)