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  • ロングセラー

イグアナくんのおじゃまな毎日

佐藤 多佳子 作
はらだ たけひで 絵

偕成社/1997年/264ページ/ISBN 978-4-03-610110-8

本作品は、韓国語に翻訳されています。

 樹里が11歳の誕生日に、親戚の「徳田のジジイ」から「生きている恐竜」だと言われてもらったのは、じつはイグアナだった。増築したサンルームで飼ってほしいと言われ、樹里は反対するが、飼育係にされてしまう。サンルームは、パパが読書し、ママが植物を育てるためにつくったのだが、パパは、このジジイが理事長をつとめる私立学校の教員なので拒否できないのだ。

 樹里は朝早く起きて、特製サラダを作り、「ヤダモン」と名づけたイグアナに持っていかなくてはならない。次々に事件も起こる。餌をやり忘れると、ヤダモンは本も鉢植えもカーテンもめちゃめちゃにしてしまう。ヤダモンの具合が悪そうなときは、獣医をさがして走り回らないといけない。親はけんかをするようになり、樹里がヤダモンを捨てようと夜中に出ていったこともある。しかも樹里は学校で「イグアナ女」と言われて、からかいの対象になる。

 しかし、一家はだんだんとヤダモンに慣れ、親しみの気持ちを持つようになっていった。「徳田のジジイ」からイグアナを返してくれと言われると、これまで何につけてもずっと我慢し続けていたパパが「くたばっちまえ。クソジジイ!」と思わずさけんでしまう。パパは仕事をクビになるのだが、一家は、「あくせくしたり、心配したり、悲しんだり、いらいらしたりしない。人間とまるでちがう生き物。のんびりと、むかしむかしの古い緑の夢の中に生きている生き物」のイグアナ、ヤダモンを1つの大切な命と認めて、共存することにしたのだ。

 シンプルながらあたたかい挿し絵の入ったユーモアたっぷりの文章で、ペットについて、命について、異種との共生について、いろいろなことを考えさせてくれる。(SY)
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佐藤 多佳子

さとう たかこ
1962年、東京に生まれる。児童文学、童話、小説など幅広く手がける。産経児童出版文化賞、路傍の石文学賞、山本周五郎賞、吉川英治文学新人賞など受賞多数。著作に『サマータイム』、『九月の雨』、『黄色い目の魚』、『明るい夜に出かけて』、『ハンサム・ガール』、『一瞬の風になれ』、「シロガラス」シリーズなどがある。

原田 健秀

はらだ たけひで
1954年、東京に生まれる。絵本や挿画などで活躍。日本人で初めてユニセフ=エズラ・ジャック・キーツ賞を受賞。ほか産経児童出版文化賞受賞。絵本に『パシュラル先生』、『フランチェスコ』、『大きな木の家 わたしのニコ・ピロスマニ』、『しろいおひげの人』、挿画に『ごくらくちょうちょ』(山下明生/文)などがある。

 

 

 

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

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