職人の手仕事に興味をひかれる戦時下の幼い少女の気持ちを、みずみずしく描いた絵物語。舞台は1942年の東京。小学校1年生の少女が住む町に、靴屋さんができた。ひょろ長い体に分厚い眼鏡をかけた若い職人のタスケさんが店を出したのだ。少女は放課後になるとその靴屋に通い、タスケさんが背中を丸めて靴の裏をトントンたたいたり、にかわで丈夫にした糸で革を縫ったりして靴を修理するのを見つめる。
少女は親にせがんで、タスケさんに自分がはく赤い靴を作ってもらうことにする。タスケさんは店を休んで革をどこからか探してくると、少女にぴったりの靴を作ってくれた。少女は大喜びし、その靴をはいて七五三の成長の祝いをしてもらう。
戦争が始まってもタスケさんは極度の近眼で徴兵を免除され、自分のことを「国のお役に立てない。こまりもの」だと言っていた。しかし、戦況が悪化してくると、タスケさんは少女の前から姿を消す。とうとう兵隊にとられたのだ。そして、少女の家も、タスケさんの店も、赤い靴も、みんな空襲で焼けてなくなってしまう。
シンプルなストーリーながら、おだやかな日常と、暴力的な戦争の対比が浮かび上がる。国際アンデルセン賞作家が、幼い子ども向けに書いた物語。挿絵には味があり、当時の様子を生き生きと浮かび上がらせる。少女がタスケさんに作ってもらった靴にのみ、赤い色を使っているのも印象的だ。(SY)
少女は親にせがんで、タスケさんに自分がはく赤い靴を作ってもらうことにする。タスケさんは店を休んで革をどこからか探してくると、少女にぴったりの靴を作ってくれた。少女は大喜びし、その靴をはいて七五三の成長の祝いをしてもらう。
戦争が始まってもタスケさんは極度の近眼で徴兵を免除され、自分のことを「国のお役に立てない。こまりもの」だと言っていた。しかし、戦況が悪化してくると、タスケさんは少女の前から姿を消す。とうとう兵隊にとられたのだ。そして、少女の家も、タスケさんの店も、赤い靴も、みんな空襲で焼けてなくなってしまう。
シンプルなストーリーながら、おだやかな日常と、暴力的な戦争の対比が浮かび上がる。国際アンデルセン賞作家が、幼い子ども向けに書いた物語。挿絵には味があり、当時の様子を生き生きと浮かび上がらせる。少女がタスケさんに作ってもらった靴にのみ、赤い色を使っているのも印象的だ。(SY)