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  • 昔話

遠野物語

柳田 國男 原作
柏葉 幸子 編著
田中 六大 絵

偕成社/2016年/142ページ/ISBN 978-4-03-744980-3

翻訳出版はありません。

 岩手県遠野市は、昔話の里として知られる。三方を山に囲まれたこの地で、人びとは、山や川、野などにひそむ不思議なものたちと関わり合いながら暮らしてきた。その生活の中から数々の昔話が生まれ、語り継がれてきたのだ。民俗学者の柳田國男は、遠野出身の佐々木喜善が遠野の人びとから聞き集めた話をまとめ、1910年に『遠野物語』を発表した。

 本書は子ども時代を遠野で暮らした柏葉幸子が、この『遠野物語』から、子どもに伝えたい話を選んで再話をした作品だ。日本の昔話に登場するカッパは、頭に水を入れたお皿、背中に甲羅、手足に水かきがあり、緑色の姿が一般的なイメージだが、遠野のカッパは顔が赤い。その遠野のカッパ、ズモが語り手となり、この地に住む不思議なものたちが登場する12の話を紹介する。

 子どもの姿をした家の神様「ザシキワラシ」、山の中に突然あらわれる家「マヨイガ」、人に悪さをする年を取った獣「フッタチ」……。彼らはときにかわいかったり、怖かったりする。悲しく、残酷な一方で、ユーモラスでもあり、それぞれが個性的だ。めでたしめでたしでは終わらない話、理不尽に感じる話もあるが、遠野では、昔から伝わる話をそのまま子や孫に「ほんとうのこと」として語り継いできた。佐々木喜善のひいばあさんの話も語られる。思い残すことがあったのか、死んだ27日後、皆の前に現れたそうだ。今も遠野では不思議なものたちが、人びととともに暮らしている。(SJ)
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柳田 國男

やなぎた くにお
1875年、兵庫県に生まれる。日本の民俗学の樹立者で、近代日本を代表する思想家。農政官僚、新聞社客員を経て、口頭伝承や固有信仰の収集・研究・出版活動を精力的に行う。著作は『蝸牛考』、『日本の民俗学』、『日本の祭』、『桃太郎の誕生』、『郷土生活の研究法』ほか全集など多くあり、現在も読み継がれている。1962年逝去。

柏葉 幸子

かしわば さちこ
1953年、岩手県に生まれる。大学在学中に講談社児童文学新人賞に入選し作家となる。産経児童出版文化賞、小学館児童出版文化賞、野間児童文芸賞などを受賞。『霧のむこうのふしぎな町』『つづきの図書館』、『牡丹さんの不思議な毎日』、『とび丸竜の案内人』、『大おばさんの不思議なレシピ』など多くのファンタジー作品がある。

田中 六大

たなか ろくだい
1980年、東京に生まれる。漫画家、イラストレーター。絵本に『おしっこもらスター』、『うどん対ラーメン』、『つられたらたべちゃうぞおばけ』(乾栄里子/文)、『ふしぎなかばんやさん』(もとしたいずみ/文)、『だいくのたこ8さん』(内田麟太郎/文)など多数。漫画作品に『クッキー缶の街めぐり』がある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

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