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  • 6歳から
  • 2000年以降

すみれちゃん

石井 睦美 作
黒井 健 絵

偕成社/2005年/138ページ/ISBN 978-4-03-345270-8

本作品は中国語(簡体字、繫体字)に翻訳されています。

 現代の日本の幼い女の子の日常を生き生きと描く童話。幼稚園に通うすみれちゃんは、自分の「すみれ」という名前が気に入らない。まずこの名前へのこだわりが、すみれちゃんの言葉へのこだわりをよく表している。おっとりとやさしいパパに、絵本に出てきた妖精の名前「フローレンス」がよかったと言っては困らせたり、生まれてくる妹の名前を植物図鑑でいっしょに考えたいと言い張ったり……。妹の誕生をめぐる生活には、いろいろな不安や不満があるが、自分なりの言葉で、パパやママやおばあちゃんと語り合いながら、じっくり考え、変わっていくすみれちゃんの姿が、なんとも愛おしい。

 気持ちがあふれて、言葉がうまく整理できないようなときに、思わず出てくるすみれちゃんの「うた」がまた独特である。「なんにもしてない なんにもしてない/ほんとはなにかを するはずだった」や、「おねえさんて さんざんだ/ほんとうにもう ぼうぜつ(「ぜつぼう」を間違って言っている)だ」といった「うた」に託された思いを、読み解いていくのも楽しい。

 新しい言葉をどんどん覚えていく幼年期、自分の考えや主張を手持ちの言葉でなんとか伝えようとするすみれちゃんの姿は、ちいさな哲学者のようである。続巻の『すみれちゃんは一年生』『すみれちゃんのあついなつ』『すみれちゃんのプレゼント』では、小学3年生までのすみれちゃんの日々が描かれていく。(OM)
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石井 睦美

いしい むつみ
1957年、神奈川県に生まれる。新美南吉児童文学賞、日本児童文学者協会賞などを受賞。著作に『五月のはじめ、日曜日の朝』、『卵と小麦粉それからマドレーヌ』、『皿と紙ひこうき』『つくえの下のとおい国』、『わたしちゃん』、『魔女のマジョランさん』、絵本に『王さまのお菓子』(くらはしれい/絵)などがある。

黒井 健

くろい けん
1947年、新潟県に生まれる。編集者を経てイラストレーターとなる。サンリオ美術賞、赤い鳥さしえ賞などを受賞。絵本に『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』(ともに新美南吉/文)、『おかあさんの目』(あまんきみこ/文)、「ころわん」シリーズ(間所ひさこ/文)、画文集に『雲の信号』(宮沢賢治/文)などがある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

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