現代の日本の幼い女の子の日常を生き生きと描く童話。幼稚園に通うすみれちゃんは、自分の「すみれ」という名前が気に入らない。まずこの名前へのこだわりが、すみれちゃんの言葉へのこだわりをよく表している。おっとりとやさしいパパに、絵本に出てきた妖精の名前「フローレンス」がよかったと言っては困らせたり、生まれてくる妹の名前を植物図鑑でいっしょに考えたいと言い張ったり……。妹の誕生をめぐる生活には、いろいろな不安や不満があるが、自分なりの言葉で、パパやママやおばあちゃんと語り合いながら、じっくり考え、変わっていくすみれちゃんの姿が、なんとも愛おしい。
気持ちがあふれて、言葉がうまく整理できないようなときに、思わず出てくるすみれちゃんの「うた」がまた独特である。「なんにもしてない なんにもしてない/ほんとはなにかを するはずだった」や、「おねえさんて さんざんだ/ほんとうにもう ぼうぜつ(「ぜつぼう」を間違って言っている)だ」といった「うた」に託された思いを、読み解いていくのも楽しい。
新しい言葉をどんどん覚えていく幼年期、自分の考えや主張を手持ちの言葉でなんとか伝えようとするすみれちゃんの姿は、ちいさな哲学者のようである。続巻の『すみれちゃんは一年生』『すみれちゃんのあついなつ』『すみれちゃんのプレゼント』では、小学3年生までのすみれちゃんの日々が描かれていく。(OM)
気持ちがあふれて、言葉がうまく整理できないようなときに、思わず出てくるすみれちゃんの「うた」がまた独特である。「なんにもしてない なんにもしてない/ほんとはなにかを するはずだった」や、「おねえさんて さんざんだ/ほんとうにもう ぼうぜつ(「ぜつぼう」を間違って言っている)だ」といった「うた」に託された思いを、読み解いていくのも楽しい。
新しい言葉をどんどん覚えていく幼年期、自分の考えや主張を手持ちの言葉でなんとか伝えようとするすみれちゃんの姿は、ちいさな哲学者のようである。続巻の『すみれちゃんは一年生』『すみれちゃんのあついなつ』『すみれちゃんのプレゼント』では、小学3年生までのすみれちゃんの日々が描かれていく。(OM)