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風と木の歌 童話集

安房 直子 著
司 修 画

偕成社(偕成社文庫)/2006年/224ページ/ISBN 978-4-03-652620-8

初版年 1972年

本作品は中国語(簡体字、繁体字)に翻訳されています。

 日本のファンタジー作家として高く評価されている著者が、1972年に初めて出版した短編集を文庫にしたもの。山で道に迷った青年が、青いキキョウの花畑で子ギツネの染物屋に出会い、両手の親指と人差し指をキキョウの青色に染めてもらう。両手の青い4本の指で窓のようなひし型を作ると、その中にもう二度と会えない人の姿が見える、という「きつねの窓」は、小学校6年生の国語の教科書にも載り、大人になっても懐かしく思い出す人が多い。「さんしょっ子」は、貧しいお百姓の家のサンショウの木の精が主人公。その木の下で遊ぶお百姓の娘、すずなと幼馴染の三太郎は、時折さんしょっ子の気配を感じながら過ごす。無邪気な子ども時代はやがて終わり、大人になった3人は片思いが報われることもないまま別々の道を歩むという、せつない物語。

 全部で8編の短編が収められているが、いずれも人間と異世界との接点が幻想的に描かれ、独特の不思議な雰囲気がある。没後30年近く経っても全集や短編集が出版され、個々の作品が絵本化され、愛読者が多い。その魅力は、昔話のような趣を持った流れるような物語展開、穏やかな言葉づかいによる優しい語り口、色を効果的に使った情景の美しさなどによるところが大きい。そして同時に、人間の心の奥底にひそむ欲望や、憧れ、恐れ、悲しみといった感情が、読者の心にひたひたと迫ってくるような深い印象を残すところにあるのだろう。(FY)
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安房 直子

あわ なおこ
1943年、東京に生まれる。大学在学中より山室静に師事。小学館文学賞、野間児童文芸賞、新見南吉児童文学賞、赤い鳥文学賞特別賞など受賞多数。著作に『北風のわすれたハンカチ』、『花のにおう町』、『遠い野ばらの村』『花豆の煮えるまで』、『風のローラースケート』、『南の島の魔法の話』などがある。1993年逝去。

司 修

つかさ おさむ
1936年、群馬県に生まれる。独学で絵を学び、数多くの装画・装丁を手がける。ライプツィヒ国際図書デザイン展金賞、講談社出版文化賞ブックデザイン賞、小学館絵画賞、産経児童出版文化賞など受賞多数。挿画に『まちんと』(松谷みよ子/文)、『サーカス物語』(M・エンデ/文 矢川澄子/訳)など。小説やエッセイの著作も多く、川端康成文学賞も受賞。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

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