12歳の幸子が住む家に、人生最後の旅として曾祖母が訪ねてくることになった。幸子の家は、かつて曾祖母が結婚した時に住んだ家で、大きな庭がある。ところが、庭は荒れ果てており、曾祖母が来るまでに4日しかない。母は4日以内に庭をきれいにしてくれる業者を探すが見つけられない。すると、不登校中の幸子が電話帳で造園会社を見つけて電話をし、仕事を引き受けてもらう。やってきたのは、20代の植木職人の健二。健二が思い切りよく枝を切る音が響き、幸子と母の心がはずむ。おばけ屋敷のようだった庭から1本1本の木が見えるようになり、それぞれの存在感が際立つ。庭が再生していく過程を目の当たりにして、幸子の気持ちは晴れていく。また、健二も木々を剪定しながら、鍛冶職人だった祖父のことや、高校を卒業してから植木職人として技を磨き、人との関係を結ぶ難しさを感じながら生きてきたこれまでのことを回想する。きれいになった庭に曾祖母、祖母を迎え、幸子の母、幸子の女4代で庭を散歩しながら、植物の命と人の命に思いをはせる。
健二が幸子にどのように庭を造るかを説明することによって、庭造りの魅力が伝わってくる。それは、1本1本の木の個性を尊重しながら、庭全体としての調和を作り、庭を見る人が「美」を感じさせる配慮がなされていることがわかる。
著者は、本書で第5回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。(DY)
健二が幸子にどのように庭を造るかを説明することによって、庭造りの魅力が伝わってくる。それは、1本1本の木の個性を尊重しながら、庭全体としての調和を作り、庭を見る人が「美」を感じさせる配慮がなされていることがわかる。
著者は、本書で第5回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。(DY)