1986年のチョルノービリ(チェルノブイリ)と2011年の福島の原発事故を題材とし、2つの場所のこぶたを語り手にした2話と、その間に挿入された手紙で構成された作品。チョルノービリのこぶた「まるまる」は、ターニャのペットになって、学校も一緒に登校していた。しかし、原発事故が起き、ターニャの家族は避難し、まるまるは他の豚たちと汚染された森へ食べ物を探しに行く(第1話)。手紙は、ターニャからふゆこ宛てで、ターニャが健康維持・増進のために福島に保養に来て、まるまるとそっくりのぶたに出会っていかに楽しかったかが綴られている。第2話は、福島でこぶたの「もも」が、ふゆこの娘であるなつこのペットになって楽しく過ごす様子が描かれる。それから大地震と原発事故が起きて、なつこ一家は避難し、ももはなつこたちの家に住みつく。3年後、なつこの家族がやってきて、ふゆこは家を荒らしたぶたを見て怒るが、車の中にいたなつこは、それがももだとわかる。なつこ一家が車で去った後、ももはいつかなつこが迎えに来ることを信じ、「だから、わたしを、わすれないでください。」と言う。
少女に愛されたこぶたの視点で2つの原発事故を描くことで、人間の行いが、いかに多くのものを傷つけたかが幼い子どもにも理解できるように描かれている。加えて、原発事故によるターニャとなつこの喪失感や苦しみも伝わる。寓話的な雰囲気を持ったあたたかいタッチの絵が、事故を語り継ぐことの大切さを伝えている。(DY)
少女に愛されたこぶたの視点で2つの原発事故を描くことで、人間の行いが、いかに多くのものを傷つけたかが幼い子どもにも理解できるように描かれている。加えて、原発事故によるターニャとなつこの喪失感や苦しみも伝わる。寓話的な雰囲気を持ったあたたかいタッチの絵が、事故を語り継ぐことの大切さを伝えている。(DY)