11歳の漣子が両親の離婚をきっかけに、家族や恋愛について考える作品。物語は父が家族3人で住んでいた家から引っ越す場面から始まる。漣子は、引っ越しの手伝いに来てくれた父の後輩とその恋人とはしゃぎながら、父に別れを告げる。両親は大学時代の同級生で、父が家で広告会社をしており、母がそれを手伝っていた。しかし、母が外へ働きに行くことになり、関係がぎくしゃくした。別居後、母は2人で暮らすための「契約書」案を作成する。そこには、家事の分担や父とのことなどが書かれていた。漣子は改定案を出すが、特に父に会いたくないときは、母に言うのではなく、漣子が直接父に言うと主張するなど、母と対等な立場で書かれた契約書になっていた。また、母は旧姓にもどるが、漣子はどうするかと聞かれて、結婚と姓の問題について気づく。学校では、父が不倫して母の姓になった理佐や漣子と付き合っている実などとのやりとりが描かれる。
漣子は、両親の離婚を通して父も母も親である前にひとりの人間であることに気づく。そして、それを冷静に受け止め、父との愛情関係を維持し、母との暮らしをうまくやっていこうとする。その様子はユーモラスに描かれているが、それだけに漣子の悲しみやとまどいが読者に伝わる。本書は出版されたとき、タブー視されていた「離婚」を感情におぼれずに描いた作品として評価され、映画化もされたが、現在読んでも新鮮さは失われていない。(DY)
漣子は、両親の離婚を通して父も母も親である前にひとりの人間であることに気づく。そして、それを冷静に受け止め、父との愛情関係を維持し、母との暮らしをうまくやっていこうとする。その様子はユーモラスに描かれているが、それだけに漣子の悲しみやとまどいが読者に伝わる。本書は出版されたとき、タブー視されていた「離婚」を感情におぼれずに描いた作品として評価され、映画化もされたが、現在読んでも新鮮さは失われていない。(DY)