「三人組登場」という本書の第1章は、タイトルの「ズッコケ三人組」なる主人公の少年たち、小学校6年生のハカセ、ハチベエ、モーちゃんの、それぞれの特徴を明確に印象づける出来事が語られる。毎朝、団地のトイレの中で勉強し、妹に文句を言われているハカセ。校庭の遊び場を確保するために、校門が開く前から待っているお調子者のハチベエ。授業が始まってからのんびりやってくるスローモーなモーちゃん。トイレにこもっていたハカセの家に泥棒が入るや、トイレットペーパーに助けを求める伝言を書いてトイレの窓から垂らすも、ハチベエもモーちゃんも「強盗」という漢字が読めずモタモタするばかり……。状況を俯瞰する三人称の客観的な語りと、それぞれの性格を明快に表現する軽妙な会話が、3人のちぐはぐぶりを余すところなく描き出していく。漫画家の前川による挿し絵が、キャラクターのイメージをさらに鮮明にする。
他にも、池に仕掛けた幽霊の人形で女の子たちを怖がらせようとする話や、貝塚の発掘のために近くの城址に出かける話など、4つの話が続き、自殺した女性の死体を見つけてしまったり、城址で迷い込んだ洞窟が戦時中の防空壕であったりと、社会的な問題との関わりも見えてくる。笑いをさそうキャラクター、起伏のあるストーリーと、読者をひきつける要素がつまった本作は、以後50巻まで続く、エンターテインメントの一大シリーズとなって親しまれている。(OM)
他にも、池に仕掛けた幽霊の人形で女の子たちを怖がらせようとする話や、貝塚の発掘のために近くの城址に出かける話など、4つの話が続き、自殺した女性の死体を見つけてしまったり、城址で迷い込んだ洞窟が戦時中の防空壕であったりと、社会的な問題との関わりも見えてくる。笑いをさそうキャラクター、起伏のあるストーリーと、読者をひきつける要素がつまった本作は、以後50巻まで続く、エンターテインメントの一大シリーズとなって親しまれている。(OM)