生徒が15人しかいない小さな山の小学校に入学したばかりのハルオは、ある朝、いつも一緒に登校する友だちに置いて行かれたと思い込み、たったひとりで山道を走っていく。着いた小学校はどこかいつもと違う雰囲気で、先生が、一番立派に宿題をやってきたからと、なぜかハルオにごほうびをくれる。まわりの生徒たちの髪や服装の様子もどこか変だし、生徒会長が黒板に書いた文は、漢字とカタカナとひらがなが変な具合に混じって読みにくい。やがて終了の鐘が鳴ると、驚いたことに先生も生徒たちもくるりと宙返りをしてキツネの姿になった。そこはキツネの小学校で、人間の子どもたちと仲良くなるために人間に化ける宿題が出ていたのだとわかり、ハルオは一目散に逃げ帰る。
数日後、ハルオの小学校の生徒全員に、変な手紙が届く。どの手紙にもへたくそな字で、「おともださにナリマ小」などとおかしな文字の使い方の文が書いてある。みんながびっくりしていると、キツネの校長先生から招待の手紙が届き、ハルオたちは人間と仲良くなりたいキツネたちの小学校へ遠足に行くことになる。
おかしな文面に笑いながらも、人間と友だちになりたいと努力するキツネたちの気持ちがハルオたちに通じるところに温かい読後感がある。漫画風のユーモラスな挿し絵も楽しい。1年生になって文字を習いはじめた子どもたちは、キツネたちが字を左右逆に書いたり、漢字の使い方を間違えたりするところに親しみを覚えるだろう。小学校低学年向きの楽しい物語を数多く書いている著者の作品の中でも人気のある1冊。(FY)
数日後、ハルオの小学校の生徒全員に、変な手紙が届く。どの手紙にもへたくそな字で、「おともださにナリマ小」などとおかしな文字の使い方の文が書いてある。みんながびっくりしていると、キツネの校長先生から招待の手紙が届き、ハルオたちは人間と仲良くなりたいキツネたちの小学校へ遠足に行くことになる。
おかしな文面に笑いながらも、人間と友だちになりたいと努力するキツネたちの気持ちがハルオたちに通じるところに温かい読後感がある。漫画風のユーモラスな挿し絵も楽しい。1年生になって文字を習いはじめた子どもたちは、キツネたちが字を左右逆に書いたり、漢字の使い方を間違えたりするところに親しみを覚えるだろう。小学校低学年向きの楽しい物語を数多く書いている著者の作品の中でも人気のある1冊。(FY)