日本の昔話といえば、「ももたろう」「はなさかじい」など男の子や正直じいさんの話が有名だ。しかし、日本各地には、女の子や女房やおばあさんが活躍する話も実はたくさん伝わっている。たとえば「わらしべ長者」は1本のわらから次々と物をとりかえていって宝を得る息子の話として知られているが、岩手県の昔話では、三人姉妹の末むすめが主人公となっている。「舌切り雀」(したきりすずめ)といえば、いじわるなばあさまが食いしん坊のすずめの舌をはさみで切ってしまう話だが、秋田県の昔話では、舌を切るのはじいさまでやさしいばあさまが宝を得る。本書は、そうした女性主人公が活躍する昔話だけを20話集めた再話集である。共通語で再話されているが、「ぱたぱた、けけろう」といった鶏の鳴き声や「ぴんぱらりん」といった美しい髪を櫛けずる音など、各地の伝承の言葉も生かされている。
三人姉妹の末のむすめや、継母にいじめられた女の子が幸福を得るという昔話共通のパターンは、本書でもくり返されている。しかし、中には、とても仲のいい蝶の三姉妹の話「赤いちょうと黄色いちょうと白いちょう」や、継母にいじめられている継子のお月を実子のお星が助ける「お月お星」など、ユニークな展開もある。とてつもない威力の屁をするあねさまや、荷物ごと牛をかつぎあげる怪力の「おかね」が活躍する豪快な話もあり、さまざまな女性が生き生きと語り伝えられてきたことに勇気づけられる。(OM)
三人姉妹の末のむすめや、継母にいじめられた女の子が幸福を得るという昔話共通のパターンは、本書でもくり返されている。しかし、中には、とても仲のいい蝶の三姉妹の話「赤いちょうと黄色いちょうと白いちょう」や、継母にいじめられている継子のお月を実子のお星が助ける「お月お星」など、ユニークな展開もある。とてつもない威力の屁をするあねさまや、荷物ごと牛をかつぎあげる怪力の「おかね」が活躍する豪快な話もあり、さまざまな女性が生き生きと語り伝えられてきたことに勇気づけられる。(OM)