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  • 6歳から
  • 昔話

日本のむかしばなし

瀬田 貞二 文
瀬川 康男 絵
梶山 俊夫 絵

のら書店/1998年/159ページ/ISBN 978-4-931129-83-2

初版年 1971年

翻訳出版はありません。

 日本の昔話を紹介する本は数えきれないくらいたくさん出版されてきている。その中でこの本が卓越している点は3つある。1つ目は、「ナルニア国ものがたり」や「指輪物語」など、多くの海外文学を日本語に翻訳紹介し、日本の現代児童文学にさまざまな影響を与えた著者が、国際的な物語の知見を活かして13編を精選していること。そのため、昔話としてよく知られている「桃太郎」は、戦時中の戦意高揚のために便宜的に使われたこともあってか、この本には載っていない。2つ目は、『幼い子の文学』などの著書がある作者が、幼児が読み聞かせてもらっても、6歳くらいの子どもたちが自分で読んでも楽しめる話を選んでいること。そのために、幼い子どもがわかる言葉や表現とともに、リズミカルなオノマトペがユーモラスに活かされている。3つ目は、もともと方言で語られている原話を標準語に置き換えながらも、語りのリズムを生かし、会話にはできるだけ方言のニュアンスを残していることから、日本各地に伝承されてきた口承文学のエキスを見事に反映した物語になっていることだ。

 灰をまくと枯れ木に花が咲く「花さかじい」も、よく知られている話とは趣が違うところが魅力的。「鼠の相撲」「猿の婿入り」「豆子地蔵」「雀の仇討」「三枚のお札」など、選び抜かれた13の不思議なお話のそれぞれが、日本の昔話ならではの笑いやペーソスがあって味わい深い。(NA)
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瀬田 貞二

せた ていじ
1916年、東京に生まれる。『児童百科事典』をふりだしに子どもの本の創作、翻訳、昔話再話、評論に取りくみ日本の児童文学界に大きな功績を残した。著書に『落穂ひろい』『絵本論』、絵本に『かさじぞう』(赤羽末吉/絵)、『ふるやのもり』(田島征三/絵)、翻訳に『ホビットの冒険』(J.R.R.トールキン/著)など多数。1979年逝去。

瀬川 康男

せがわ やすお
1932年、愛知県に生まれる。BIB世界絵本原画展グランプリ、小学館絵画賞、講談社出版文化賞絵本賞など国内外で高く評価される。絵本に『ぼうし』、『ふしぎなたけのこ』(松野正子/文)、『ことばあそびうた』(谷川俊太郎/文)、『いないいないばあ』(松谷みよ子/文)、『絵巻平家物語(全9巻)』(木下順二/文)など。2010年逝去。

梶山 俊夫

かじやま としお
1935年、東京に生まれる。絵本、挿画、陶芸、壁画など幅広い分野で活躍。BIB世界絵本原画展金のりんご賞、小学館絵画賞、講談社出版文化賞絵本賞など受賞。絵本に『ごろはちだいみょうじん』(中川正文/文)『さんまいのおふだ』(水沢謙一/文)、『泣いた赤おに』(浜田廣介/文)、『虎落笛』(富安陽子/文)など。2015年逝去。

翻訳出版に関する連絡先

のら書店
Tel.: 03-3261-2604

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