正直なおじいさん、おばあさんが、川を流れてきた箱に入っていた子犬を大切に育てると、「ここほれわんわん」と大判小判のありかを教えてくれる「はなさかじい」、桃からうまれた桃太郎が、犬、猿、きじをお伴に鬼退治に行く「ももたろう」をはじめ、「したきりすずめ」「ねずみのもちつき」「さるかにかっせん」といった日本に伝わる昔話301話を5巻にまとめたシリーズ。正月から春を感じさせる話を集めた第1巻から、冬を感じさせる話を集めた第5巻まで、日本の季節の流れにしたがって構成されている。日本の四季おりおりの自然と向き合い、動物や怪異のものと関わり合ってきた、さまざまな人々の生き方、育ち方を感じることができる。
昔話の研究者でもある著者は、もともと方言で記録された昔話をすべて共通語で統一し、口伝えならではの話の形がつかめるように再話している。主人公や敵は、極端な性質でくっきりと示し、できごとは3回くりかえして印象づけ、切ったり、食われたりといった残酷な場面は、写実性は省いてすっきり示す。ただ、「むかし」で始まる話の最後を閉じる言葉は、「いきがぽーんとさけた」「どんどはれ」「とっぴんぱらりの、さんしょの実」など、各地で語り伝えられてきた言葉を採用し、今の子どもたちにとっても不思議な響きを持つ、伝承の言葉の面白さも感じられる。巻末には「昔話にでてくる道具」の絵や、各再話のもととなった資料一覧も掲載されている。(OM)
昔話の研究者でもある著者は、もともと方言で記録された昔話をすべて共通語で統一し、口伝えならではの話の形がつかめるように再話している。主人公や敵は、極端な性質でくっきりと示し、できごとは3回くりかえして印象づけ、切ったり、食われたりといった残酷な場面は、写実性は省いてすっきり示す。ただ、「むかし」で始まる話の最後を閉じる言葉は、「いきがぽーんとさけた」「どんどはれ」「とっぴんぱらりの、さんしょの実」など、各地で語り伝えられてきた言葉を採用し、今の子どもたちにとっても不思議な響きを持つ、伝承の言葉の面白さも感じられる。巻末には「昔話にでてくる道具」の絵や、各再話のもととなった資料一覧も掲載されている。(OM)