メニュー開閉ボタン
『日小見不思議草紙』の表紙画像

試し読み

  • サンプル画像1
  • サンプル画像2
  • 10歳から
  • 2000年以降

日小見不思議草紙

藤重 ヒカル 作
飯野 和好 絵

偕成社/2016年/231ページ/ISBN 978-4-03-540400-2

翻訳出版はありません。

 江戸時代を舞台にした5篇のファンタジー短編集。

 「立花たんぽぽ丸のこと」では、人を斬るのが嫌いな貧乏侍・六平太の前に、300年生きているサルが現れて古い刀をくれる。その刀は、六平太が構えただけで鼻にぽっとたんぽぽが咲き、相手が笑いだすので、戦わずして勝てるという不思議な力を持っていた。

 「草冠の花嫁」の主人公である記憶喪失の流れ者・清七は豆腐屋で働いているが、油揚げを買いに来た少女と話すうちに少しずつ記憶が戻り、少女が仕える姫と清七がもとは夫婦だったことや、自分の本来の姿がキツネだったことを思い出す。

 「おはるの絵の具」では、絵師見習いの新吉が春の野原で写生をしていると、おはるという少女に出会う。新吉が絵の具に不自由していると聞くと、おはるは絵の具を作ってきて自分の姿も描いてくれとたのむ。出世階段を登りはじめて忙しくなった新吉だが、おはるとの約束を思い出して絵を見せに行くと、おはるは少しずつ消えていき、雪の上に倒れていたのは虹色のチョウだった。

 「龍ケ関」では、人間に変身したクマの上田角之進が、クマのすむ森を保全するため、ほかのクマたちの助けを借りて、川の氾濫を防ぐダムを築く。

 「おせつネコかぶり」では、少女おせつが父親の怪我を治そうと、ネコたちが集まる不思議な時空に入り込み、特別な皮をかぶって自分もネコになってみる。

 どれも不思議な趣の短編だが、よくまとまっていて、おもしろい。それぞれの話の前後に江戸時代と現代を結びつける仕掛けもあり、虚実の境がわざとあいまいになっている。挿し絵もユーモラスな味わいを支えている。(SY)
『日小見不思議草紙』の表紙画像

試し読み

  • サンプル画像1
  • サンプル画像2

藤重 ヒカル

ふじしげ ひかる
1965年、千葉県に生まれる。建築インテリアの仕事をしながら絵本・童話をかきはじめ、児童文学雑誌「飛ぶ教室」作品募集入選をきっかけに作家デビュー。著作に『さよなら、おばけ団地』、『教室に幽霊がいる!?』、『不思議屋敷の転校生』、自作絵本に「まわるおすしやさん」(月刊絵本こどものとも)がある。

飯野 和好

いいの かずよし
1947年、埼玉県に生まれる。イラストレーター、絵本作家として幅広く活躍。小学館児童出版文化賞、日本絵本賞、赤い鳥さし絵賞など受賞。絵本に『わんぱくえほん』、『ハのハの小天狗』、「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ、「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ、『ふようどのふよこちゃん』、『おせんとおこま』など。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

スクロールトップボタン