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  • 10歳から
  • 2000年以降

アリババの猫がきいている

新藤 悦子 作
佐竹 美保 絵

ポプラ社/2020年/222ページ/ISBN 978-4-591-16582-9

本作品は韓国語に翻訳されています。

 日本に暮らすイラン人の言語学者、アリババが飼っているペルシャ猫のシャイフは、長老族という特別な血筋で、人間やモノの言葉を聞くことができる。人とモノをつなぐことができるため、イランでは「バザールの猫」と呼ばれ愛されている。そのシャイフが、アリババの出張中に、世界の民芸品を扱う雑貨店「ひらけごま」に預けられる。そして毎晩、世界各地からやってきたモノたちの身の上話を聞くことになる。イランでミツバチの巣箱の蓋だった、鳥の絵が美しい「タイルばあや」。アフガニスタンの遊牧民の女の子が編んだ花嫁のラクダを飾る「ひも姉さん」。アマゾンの学校の先生が作った素焼きの動物「アマゾンのやんちゃたち」、そして、アフガニスタンの工房で作られた幻のヘラートグラス「青いグラスくん」。物語は、一晩ごとのモノたちの身の上話が、「ひらけごま」の男性店長石塚さんをはじめ、近所の日本語教室に通うイラン人の女の子のナグメ、向かいのレストランでシェフをしている翔子さん、その元教え子の日系ペルー人のぺぺといった、さまざまな人々の生活とつながりながら、展開されていく。

 多様な文化をルーツとするモノや人びとが「ひらけごま」に集まってくる背景には、戦争や社会の変化など、世界各地の事情が絡み合っていることも見えてくる。しかし、猫のシャイフがそれぞれの事情やはるかな時空を俯瞰する視点となっているため、読みやすい。現代日本の一角で実現する多文化共生を描く、温かいファンタジー。(OM)
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新藤 悦子

しんどう えつこ
1961年、愛知県に生まれる。トルコやイランに関するノンフィクション作家として活躍後、児童文学の創作に意欲的にとりくむ。日本児童文学者協会新人賞受賞。児童書の著作に『青いチューリップ』、『ヘンダワネのタネの物語』、『イスタンブルで猫さがし』『空とぶじゅうたん』、『スプーンは知っている』、『手作り小路のなかまたち』、『ピンクのチビチョーク』などがある。

佐竹 美保

さたけ みほ
1957年、富山県に生まれる。SFやファンタジーなど幅広いジャンルで書籍の装画・挿画を手がける。挿画に「守り人」シリーズ(上橋菜穂子/文)、「ブンダバー」シリーズ(くぼしまりお/文)、「魔女の宅急便」シリーズ(角野栄子/文)、「リンの谷のローワン」シリーズ(エミリー・ロッダ/文 さくまゆみこ/訳)、「十年屋」シリーズ(廣嶋玲子/文)などがある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社ポプラ社
Email: foreign-rights-sales@poplar.co.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください。)

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