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小説

東山彰良

講談社(講談社文庫)/2017年/512ページ/本体880円/ISBN 978-4-06-293721-4

本作品は中国語(繁体字)に翻訳されています。

 台湾、1975年。偉大なる総統、蒋介石が亡くなったその年、主人公の秋生の祖父は何者かに惨殺される。祖父は、かつて蒋介石率いる国民党の一員として共産党と戦ったものの敗れ、台湾に渡った。大陸では戦争のとき、日本軍の傀儡だった中国人の一族を滅ぼすなど、かなり血なまぐさい事件にかかわったこともあるらしい。しかしそんな記憶もはるか遠くなったいま、いったい誰が、なぜ祖父を殺害したのか?秋生はその謎を胸の内に抱えながら、多感な、そして無軌道な青春時代を過ごす。幼なじみの悪友に頼まれて高校を替え玉受験したのがばれて、底辺校に進まざるを得なくなった秋生は、喧嘩にあけくれ、恋の喜びや悲しみも知る。やがて秋生は日本、そして中国を訪れ、祖父殺害の驚くべき秘密にじわじわと近づいていく。

 作者の一家は台湾人で、作者が9歳のときに一家で日本に渡ってきた。いわば移民作家が日本語で自らのルーツを掘り下げた文学として、この作品は貴重な意味を持つ。しかもその文章は実にのびやかでユーモアに満ち、血沸き肉躍る物語の楽しみに満ちている。自らの父、祖父の世代へのレクイエムであると同時に、青春小説として普遍的な魅力を持つ傑作の誕生だ。(NK)
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東山彰良

東山彰良

1968年台湾生まれ。5歳まで台北で過ごした後、9歳のときに日本に移る。2002年『逃亡作法―TURDONTHERUN』で『このミステリーがすごい!』大賞銀賞/読者賞を受賞。2009年『路傍』で大藪春彦賞、2015年『流』で直木賞、2016年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。

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