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小説

世界の果てのこどもたち

中脇 初枝

講談社(講談社文庫)/2018年/480ページ/本体840円/ISBN 978-4-06-293902-7

翻訳出版はありません。

 高知県の村から開拓民として満州国に渡った一家の長女、珠子。たどりついた先の村で、幼い彼女には大切な友だちができる。朝鮮人の娘・美子、そして裕福な家の娘・茉莉だ。3人は一緒に遠くまで遊びに出かけて帰れなくなり、一個のおにぎりを分け合って空腹をしのぐ。そんな体験を通して固い絆で結ばれた3人は、やがて戦中・戦後の混乱期にそれぞれまったく異なる境遇に置かれることとなる。珠子は残留孤児となって中国人に育てられ、美子は在日朝鮮人として苦労の多い暮らしを続ける。そして茉莉は横浜の空襲により家族を失い施設で育つ。激動の時代の波に洗われながら生きていく者たちの姿を、作者は柔らかく力みのない文章で綴る。

 鮮明に描かれた日常の暮らしの細部が作品を支え、作者が丹念な取材に基づいて執筆していることを実感させる。3人の娘たちの辿る道は過酷だが、戦争を観念的に批判するのではなく、苦難に耐えて生き抜くことの尊さ、素晴らしさを温かく伝えるところに、作者の資質が表れている。40年近い歳月を越えて、3人はついに再会を果たす。戦争を知らない世代が祖父母の世代の人生を共感豊かに再創造した、感動的な物語である。(NK)
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中脇 初枝

中脇初枝

1974年徳島県生まれ、高知県育ち。1992年に17歳で『魚のように』で坊っちゃん文学賞、2013年『きみはいい子』で坪田譲治文学賞を受賞。他に『わたしをみつけて』など。

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