
さまざまな生活
こんな夜更けにバナナかよ
文藝春秋(文春文庫)/2013年/560ページ/本体760円/ISBN 978-4-16-783870-6
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鹿野靖明は進行性筋ジストロフィーという病気を患った重度の障害者である。診断されたのは小学校6年生のときだが、18歳になって足の筋力が低下し、車椅子の生活 を余儀なくされた。ふつうなら一生親の世話を受けて暮らすか、身体障害者施設に入るところ、個性の強い鹿野は23歳のとき「自立生活」の道を選んだ。自ら街に出て、チラシを配ったり、新聞に広告を出したりして、ボランティアを募る。
彼の周りには大学生や主婦を中心とするボランティアが集まり、鹿野を中心に一つのコミュニティが形成される。本書は集まった500人ものボランティアたちの群像を描いている。
自ら認めるように、鹿野靖明はわがままである。日々の三食はいうにおよばず、トイレ、入浴、痰の吸引や投薬など、すべて人の世話にならなければ生きていけない。にもかかわらず、彼は何の遠慮もなくボランティアたちに指図する。真夜中に仮眠中のボランティアを呼び起こし、バナナを食べたいと言い出すこともある。本書の書名もそのことに由来する。
それでもボランティアたちは続々と集まってくる。ボランティアは単に善意で人を助けるのではなく、自分のことを見つめ直し、いかに生きるべきかについて真剣に考えるきっかけになる。介助を通して、ボランティアたちも貴重な体験をし、多くのことを学んだ。そのことが、重度障害者の日常、ボランティアたちの生活、そして彼らの思いや内心の変化を通して詳細に描き出されている。(CK)
彼の周りには大学生や主婦を中心とするボランティアが集まり、鹿野を中心に一つのコミュニティが形成される。本書は集まった500人ものボランティアたちの群像を描いている。
自ら認めるように、鹿野靖明はわがままである。日々の三食はいうにおよばず、トイレ、入浴、痰の吸引や投薬など、すべて人の世話にならなければ生きていけない。にもかかわらず、彼は何の遠慮もなくボランティアたちに指図する。真夜中に仮眠中のボランティアを呼び起こし、バナナを食べたいと言い出すこともある。本書の書名もそのことに由来する。
それでもボランティアたちは続々と集まってくる。ボランティアは単に善意で人を助けるのではなく、自分のことを見つめ直し、いかに生きるべきかについて真剣に考えるきっかけになる。介助を通して、ボランティアたちも貴重な体験をし、多くのことを学んだ。そのことが、重度障害者の日常、ボランティアたちの生活、そして彼らの思いや内心の変化を通して詳細に描き出されている。(CK)

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