
中国
赤朽葉家の伝説
東京創元社(創元推理文庫)/2010年/455ページ/本体800円/ISBN 978-4-488-47202-3
本作品は中国語(繁体字、簡体字)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語に翻訳されています。
「赤朽葉万葉が空を飛ぶ男を見たのは、10才になったある夏のことだった。万葉はわたしの、祖母である」――そんな書き出しの一行とともに、母娘三代、1950年代から21世紀にまでおよぶサーガが幕を開ける。
語り手の祖母・万葉は「山の民」に置き去られた赤ん坊だった。村の若夫婦に引き取られて育ち、長ずるに及び、製鉄業で財を成し村に君臨する旧家・赤朽葉家に望まれて輿入れする。万葉は超能力者としての資質を折に触れ発揮し「千里眼奥様」と呼ばれる。一方その娘・毛毬は、山陰地方きっての女暴走族集団のリーダーとして暴れまわり、その名をとどろかせる。やがてきっぱり足を洗い、少女マンガの作者として才能を開花させる。その娘である瞳子はまったく平凡な女の子で、何の目標も見つけられないまま「ニート」として暮らしている。だが死の間際に祖母のいい残した、自分は人を殺したことがあるという告白の謎を探るうち、驚くべき「殺人」の真実に行きあたる。
これは当代きってのストーリーテラー桜庭一樹が、自らの故郷である島根県を舞台に、製鉄業に支えられた村の栄枯盛衰を縦軸とし、マジック・リアリズム的想像力を奔放に駆使して描いた骨太の長編小説である。幻想文学とミステリーの興味を合わせもつ物語に引き込まれつつ、読者は女の視点から再創造された戦後日本史を堪能することだろう。(NK)
語り手の祖母・万葉は「山の民」に置き去られた赤ん坊だった。村の若夫婦に引き取られて育ち、長ずるに及び、製鉄業で財を成し村に君臨する旧家・赤朽葉家に望まれて輿入れする。万葉は超能力者としての資質を折に触れ発揮し「千里眼奥様」と呼ばれる。一方その娘・毛毬は、山陰地方きっての女暴走族集団のリーダーとして暴れまわり、その名をとどろかせる。やがてきっぱり足を洗い、少女マンガの作者として才能を開花させる。その娘である瞳子はまったく平凡な女の子で、何の目標も見つけられないまま「ニート」として暮らしている。だが死の間際に祖母のいい残した、自分は人を殺したことがあるという告白の謎を探るうち、驚くべき「殺人」の真実に行きあたる。
これは当代きってのストーリーテラー桜庭一樹が、自らの故郷である島根県を舞台に、製鉄業に支えられた村の栄枯盛衰を縦軸とし、マジック・リアリズム的想像力を奔放に駆使して描いた骨太の長編小説である。幻想文学とミステリーの興味を合わせもつ物語に引き込まれつつ、読者は女の視点から再創造された戦後日本史を堪能することだろう。(NK)

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