キツネの子が丸木橋のたもとで黄色いバケツを見つける。キツネの子は、前からこんなバケツがほしかった。新しくてピカピカしていて、大きさもちょうどいい。でも名前が書いてないので、持ち主はわからない。そこでウサギの子とクマの子に相談すると、1週間待って、次の月曜日にだれも取りにこなかったらキツネくんのものにしたらいい、と言ってくれる。キツネの子は、毎日何回もバケツを見に行き、手に提げてみたり、バケツに釣った魚を入れるところを想像したり、リンゴをたくさん入れてみんなに配ろうと考えたりして、ひとり楽しいときを過ごす。待ちかねた次の月曜日が来て、キツネの子が朝早く行ってみると、バケツは消えていた。ウサギの子とクマの子もやってきて、口々に残念がるが、キツネの子は、黄色いバケツと一緒に過ごしたこの1週間は、バケツは他のだれのものでもなく、いつも自分のものだったのだ、と思うことで満足し、「いいんだよ、もう」ときっぱり言って笑う。
バケツが好きでたまらないキツネの子の純粋さが、ひとつひとつの行動からよく伝わり、自分の物にならなくても、大切に思い続けることで豊かな気持ちになれることを読者に教えてくれる。あどけないキツネの子の姿を描いた挿し絵が各ページについて、字を読めるようになったばかりの子どもにも読みやすい。同じキツネの子を主人公にした続編4冊もよく読まれている。(FY)
バケツが好きでたまらないキツネの子の純粋さが、ひとつひとつの行動からよく伝わり、自分の物にならなくても、大切に思い続けることで豊かな気持ちになれることを読者に教えてくれる。あどけないキツネの子の姿を描いた挿し絵が各ページについて、字を読めるようになったばかりの子どもにも読みやすい。同じキツネの子を主人公にした続編4冊もよく読まれている。(FY)
