たまごやきが大好きで、勉強嫌いで、わがままでいばり屋の王さまが、自分の思い通りのことをしようとして失敗したり、うそをついたりする日常を描いた「ぼくは王さま」シリーズの1冊。9話の短編が収録されている。「おしゃべりなたまごやき」は、王さまがにわとり小屋の鍵をあけてにわとりたちを逃がしておきながら、大騒ぎになると、鍵をあけた犯人を見つけろと言う。そして、王さまはにわとり小屋の鍵をこっそり捨て、それを見ていためんどりに口止めをする。王さまがそのにわとりが産んだ卵のたまごやきを食べようとすると、王さまの口止めの言葉がたまごやきから聞こえてきて、コックさんが事の真相を知ってしまう。そのほか、木の上のベッドで寝たがったり(第2話)、人のものを何でも欲しがったり(第3話)、いいことをしようとしてみんなに迷惑をかけたり(第7話)する。
王さまの行動は、子どもの願望を反映している。王さまは、自分の地位を使って、日常では子どもたちが禁止されていることをいとも簡単に実現する。とはいえ、王さまはその結果を引き受けなければいけなくなり、子ども読者は、「やっぱり」と納得するユーモラスな展開になっている。『おしゃべりなたまごやき』は絵本化(長新太 絵/福音館書店/1972年)されており、王さまのあわてぶりが絵で楽しめる。王さまシリーズが1冊で読める『ぼくは王さま全1冊』(理論社/1985年)もある。(DY)
王さまの行動は、子どもの願望を反映している。王さまは、自分の地位を使って、日常では子どもたちが禁止されていることをいとも簡単に実現する。とはいえ、王さまはその結果を引き受けなければいけなくなり、子ども読者は、「やっぱり」と納得するユーモラスな展開になっている。『おしゃべりなたまごやき』は絵本化(長新太 絵/福音館書店/1972年)されており、王さまのあわてぶりが絵で楽しめる。王さまシリーズが1冊で読める『ぼくは王さま全1冊』(理論社/1985年)もある。(DY)