ある小学校の図工の先生だった「ぼく」は、2学期のある日、野良猫のけんかに出くわし、偶然白い服を着たネズミを救う。不思議に思いながらも介抱すると、ネズミは目をさまして逃げていった。何日かのち、そのネズミがぼくのもとに現れた。驚いたことに後ろ足で立ち、人間の言葉を話す。彼は、自分は生き残った最後の「学校ネズミ」なのだ、と言って話を始めた。
物語は、この学校ネズミが毎週月曜日の放課後、図工準備室にやってきて、かつてこの小学校に住んでいた学校ネズミ達が見聞きしたこと、経験したことを語る、という形で進んでいく。学校ネズミの名前は、それぞれが住む場所によって決まる。1年生ネズミの話は、ひとりの女の子のしゃっくりが教室から広がり、地球上の全人類に伝染してしまった事件のこと。音楽室ネズミは、5匹のなめくじが学校のこわさを訴える、という歌を作った。保健室ネズミは語り手のネズミの父親で、『長ぐつをはいたネコ』の話が大好きだったという。そして3月、異動で学校を変わることになったぼくに最後に語られたのは、図工準備室ネズミの話だった。どの話もユニークで面白く読めるが、一方でどこか社会のあり方や学校生活への皮肉も込められているようでもある。
自身も図工の先生だった著者が挿絵も書き、子どもたちの日常の場である学校に不思議な出来事を遊び心いっぱいに盛り込んだファンタジー作品。(SJ)
物語は、この学校ネズミが毎週月曜日の放課後、図工準備室にやってきて、かつてこの小学校に住んでいた学校ネズミ達が見聞きしたこと、経験したことを語る、という形で進んでいく。学校ネズミの名前は、それぞれが住む場所によって決まる。1年生ネズミの話は、ひとりの女の子のしゃっくりが教室から広がり、地球上の全人類に伝染してしまった事件のこと。音楽室ネズミは、5匹のなめくじが学校のこわさを訴える、という歌を作った。保健室ネズミは語り手のネズミの父親で、『長ぐつをはいたネコ』の話が大好きだったという。そして3月、異動で学校を変わることになったぼくに最後に語られたのは、図工準備室ネズミの話だった。どの話もユニークで面白く読めるが、一方でどこか社会のあり方や学校生活への皮肉も込められているようでもある。
自身も図工の先生だった著者が挿絵も書き、子どもたちの日常の場である学校に不思議な出来事を遊び心いっぱいに盛り込んだファンタジー作品。(SJ)