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  • 昔話

アイヌと神々の物語―炉端で聞いたウウェペケレ

萱野 茂 著

山と溪谷社/2020年/544ページ/ISBN 978-4-635-04878-1

翻訳出版はありません。

 日本の先住民アイヌの人々に伝わる昔話や神話が38話集められている。アイヌである著者が古老たちを訪ね歩き、アイヌ語で直接聞き取って日本語で再話している。日本では一般書として出版されているが、収録されているのは小さな子どもでも楽しめる話が多い。ウウェペケレは、「昔話」と訳されることも多いが、アイヌたちは実際に体験した民族の歴史と捉えてきたという。こうした伝承物語は、民族の文化や風習を次の世代に伝え、生活の知恵や神(カムイ)との関わり方を教えるものであると同時に、長い冬の夜を心豊かに過ごすためのものであった。

 本書には、「身代わりの美女」「怪鳥とくすり水」「カラスと赤ん坊」「子どもと遊んだ神」「鬼の岩屋」「黒ギツネのイナウ」「三本足の大グマ」「スズメの恩返し」「カツラの木の女神」「打ち出の小づち」「国造りの神とフクロウ」など、日本の伝承物語とは趣が異なる話が、語り手の名前とともに収録されている。それぞれの話の後には、著者による解説と、昔話に関連する民具の紹介がついている。解説には、その話がアイヌ社会で持つ意味や、語り手についての思い出、登場する神に関する説明、子どもに何を教えているかなどが述べられている。アイヌの民具の部分では、人々が手作りしていた日常生活のさまざまな道具が、用途や素材などとともにイラスト付きで紹介されている。

 クマをはじめ、動物や植物を神とみなして自然とていねいに付き合ってきたアイヌの人たちの伝承物語や、その世界観からは、現代の私たちが学ぶことも多い。(SY)
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萱野 茂

かやの しげる
1926年、北海道に生まれる。アイヌ語研究の第一人者で、アイヌ語を母語とし、祖母の語る昔話・カムイユカラを子守り歌がわりに聞き成長。金田一京助のユカラ研究の助手も務めた。著書に『カムイユカラと昔話』がある。アイヌ民族昔話(ウウェペケレ)を収録した『ウウェペケレ集大成』で菊池寛賞受賞。2006年逝去。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社山と溪谷社

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