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  • ロングセラー

くまの子ウーフ

神沢 利子 作
井上 洋介 絵

ポプラ社/2020年/137ページ/ISBN 978-4-591-16818-9

初版年 1969年

本作品は、中国語(簡体字、繁体字)オランダ語、フランス語、ドイツ語、韓国語、ポルトガル語に翻訳されています。

 主人公は、何かあるとすぐ「うーふー」と唸るくまの子、ウーフ 。遊ぶこと、食べること、そして考えることが好きというこのウーフが、両親や周りの動物たちと関わりながら、さまざまな疑問を抱き、考えていく幼年向けの物語集だ。「さかなには なぜしたがない」「いざというときって どんなとき?」など9話が収められている。たとえば、「ウーフは おしっこでできてるか??」という話では、物が何でできているかとウーフが気になっていたとき、きつねのツネタにウーフはおしっこを出すからおしっこでできているとからかわれる。そこから、自分とは何かという問題に直面し、最後は「ウーフは、ウーフでできてる」という自己肯定にたどりつく。また、「ちょうちょだけに なぜなくの」という話では、肉も魚も食べるくせに、なぜ蝶を死なせたときだけ泣くのか、とツネタに問いかけられる。あらゆる動物が他の命をもらって生きているというこの難問には、最後まで答えは出ない。いずれにせよ、身近な生活から疑問を持ち、考え続けるウーフの姿は、子どもの持つ哲学性をよく表している。

 とりわけ大きな事件があるわけではないが、動物キャラクターによる軽快な会話、リズミカルなオノマトペ、心地よい自然描写など、読みやすい文章は、多くの子ども読者に受け入れられている。

 その後、「くまの子ウーフの絵本」(全10巻)や続編も出たが、哲学的なおもしろさという点では、この最初の1冊が最もすぐれている。(OM)
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神沢 利子

かんざわ としこ
1924年、福岡県に生まれる。幼少期を樺太(サハリン)で過ごす。日本児童文学者協会賞、日本童謡賞、路傍の石文学賞、巖谷小波文芸賞、野間児童文芸賞、小学館児童出版文化賞など受賞多数。童話に『ちびっこカムのぼうけん』、『ふらいぱんじいさん』、『いたずらラッコのロッコ』、絵本に『鹿よ おれの兄弟よ』(G.D.パヴリーシン/絵)などがある。

井上 洋介

いのうえ ようすけ
1931年、東京に生まれる。漫画、絵本、タブロー、舞台美術など多彩な分野で活躍。小学館絵画賞、講談社出版文化賞絵本賞、文藝春秋漫画賞など多数受賞。絵本に『まがればまがりみち』、『あじのひらき』、『でんしゃえほん』、『ちょうつがいの絵本』、画集に『木版東京百画府』などがある。2016年逝去。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社ポプラ社
Email: foreign-rights-sales@poplar.co.jp
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