主人公は、何かあるとすぐ「うーふー」と唸るくまの子、ウーフ 。遊ぶこと、食べること、そして考えることが好きというこのウーフが、両親や周りの動物たちと関わりながら、さまざまな疑問を抱き、考えていく幼年向けの物語集だ。「さかなには なぜしたがない」「いざというときって どんなとき?」など9話が収められている。たとえば、「ウーフは おしっこでできてるか??」という話では、物が何でできているかとウーフが気になっていたとき、きつねのツネタにウーフはおしっこを出すからおしっこでできているとからかわれる。そこから、自分とは何かという問題に直面し、最後は「ウーフは、ウーフでできてる」という自己肯定にたどりつく。また、「ちょうちょだけに なぜなくの」という話では、肉も魚も食べるくせに、なぜ蝶を死なせたときだけ泣くのか、とツネタに問いかけられる。あらゆる動物が他の命をもらって生きているというこの難問には、最後まで答えは出ない。いずれにせよ、身近な生活から疑問を持ち、考え続けるウーフの姿は、子どもの持つ哲学性をよく表している。
とりわけ大きな事件があるわけではないが、動物キャラクターによる軽快な会話、リズミカルなオノマトペ、心地よい自然描写など、読みやすい文章は、多くの子ども読者に受け入れられている。
その後、「くまの子ウーフの絵本」(全10巻)や続編も出たが、哲学的なおもしろさという点では、この最初の1冊が最もすぐれている。(OM)
とりわけ大きな事件があるわけではないが、動物キャラクターによる軽快な会話、リズミカルなオノマトペ、心地よい自然描写など、読みやすい文章は、多くの子ども読者に受け入れられている。
その後、「くまの子ウーフの絵本」(全10巻)や続編も出たが、哲学的なおもしろさという点では、この最初の1冊が最もすぐれている。(OM)