散在ガ池の浅沼に住んでいた子どもの河童の八寸は、親きょうだいが行方知れずになってしまい、ひとりさびしく暮らしている。あるとき八寸は、長老河童に呼び出され、夏の間、猫の姿で人間の世界に修行に行くようにと言い渡される。
猫の姿に変わった八寸は、5年生の少女、麻とその飼い犬チェスタートンと知り合いになる。麻は、母親が死去し、父親は忙しい仕事を抱えながらもできる限りのことはしてくれているが、さびしく思うことも多い。
ある日、八寸は、麻が落としたキウイを拾い食いして具合が悪くなり、麻の家の中に運び込まれる。その後、お風呂に入れられそうになって八寸が河童に戻ったり、麻と父親が留守のときに八寸が水を出しっぱなしにしたり、トイレットペーパーで遊んだりといろいろな事件が起こる。麻もいじめの問題に直面する。麻は、八寸が河童になったり猫になったりする存在であることを見抜き、外見と内面の差や、存在の本質について子どもながらに思いをめぐらせる。
八寸と麻はしだいに互いを必要とするようになるが、それでも別れはやってくる。といっても最後は幸せな終わり方で読者をホッとさせ、麻も成長する。日本の伝統的な妖怪である河童を巧みな筆致で現代によみがえらせ、孤独、友情、家族などのテーマを掘り下げた作品。(SY)
猫の姿に変わった八寸は、5年生の少女、麻とその飼い犬チェスタートンと知り合いになる。麻は、母親が死去し、父親は忙しい仕事を抱えながらもできる限りのことはしてくれているが、さびしく思うことも多い。
ある日、八寸は、麻が落としたキウイを拾い食いして具合が悪くなり、麻の家の中に運び込まれる。その後、お風呂に入れられそうになって八寸が河童に戻ったり、麻と父親が留守のときに八寸が水を出しっぱなしにしたり、トイレットペーパーで遊んだりといろいろな事件が起こる。麻もいじめの問題に直面する。麻は、八寸が河童になったり猫になったりする存在であることを見抜き、外見と内面の差や、存在の本質について子どもながらに思いをめぐらせる。
八寸と麻はしだいに互いを必要とするようになるが、それでも別れはやってくる。といっても最後は幸せな終わり方で読者をホッとさせ、麻も成長する。日本の伝統的な妖怪である河童を巧みな筆致で現代によみがえらせ、孤独、友情、家族などのテーマを掘り下げた作品。(SY)