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  • 10歳から
  • 2000年以降

かはたれ 散在ガ池の河童猫

朽木 祥 作
山内 ふじ江 画

福音館書店/2005年/272ページ/ISBN 978-4-8340-2148-6

翻訳出版はありません。

 散在ガ池の浅沼に住んでいた子どもの河童の八寸は、親きょうだいが行方知れずになってしまい、ひとりさびしく暮らしている。あるとき八寸は、長老河童に呼び出され、夏の間、猫の姿で人間の世界に修行に行くようにと言い渡される。

 猫の姿に変わった八寸は、5年生の少女、麻とその飼い犬チェスタートンと知り合いになる。麻は、母親が死去し、父親は忙しい仕事を抱えながらもできる限りのことはしてくれているが、さびしく思うことも多い。

 ある日、八寸は、麻が落としたキウイを拾い食いして具合が悪くなり、麻の家の中に運び込まれる。その後、お風呂に入れられそうになって八寸が河童に戻ったり、麻と父親が留守のときに八寸が水を出しっぱなしにしたり、トイレットペーパーで遊んだりといろいろな事件が起こる。麻もいじめの問題に直面する。麻は、八寸が河童になったり猫になったりする存在であることを見抜き、外見と内面の差や、存在の本質について子どもながらに思いをめぐらせる。

 八寸と麻はしだいに互いを必要とするようになるが、それでも別れはやってくる。といっても最後は幸せな終わり方で読者をホッとさせ、麻も成長する。日本の伝統的な妖怪である河童を巧みな筆致で現代によみがえらせ、孤独、友情、家族などのテーマを掘り下げた作品。(SY)
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朽木 祥

くつき しょう
1957年、広島県に生まれる。広島の原爆のことをきっかけに本格的に児童向けの物語を書きはじめる。産経児童出版文化賞、日本児童文芸家協会賞、小学館児童出版文化賞などを受賞。著作に『彼岸花はきつねのかんざし』、『風の靴』、『光のうつしえ』、『八月の光』、『月白青船山』、『さくら村は大さわぎ』などがある。

山内 ふじ江

やまうち ふじえ
1946年、栃木県に生まれる。1969年、最初の絵本『イギリスのわらべうた』(木島始/訳)を手がける。絵本に『ねことしっぽ』、『こひつじまある』、『貝の子プチキュー』(茨木のり子/文)、挿画に『森のおはなし』(松居スーザン/文)、『黒ねこのおきゃくさま』(ルース・エインズワース/文 荒このみ/訳)などがある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社福音館書店
Email: international-rights@fukuinkan.co.jp
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