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  • 9歳から
  • 2000年以降

盆まねき

富安 陽子 作
高橋 和枝 絵

偕成社/2011年/191ページ/ISBN 978-4-03-530610-8

本作品は中国語(簡体字)に翻訳されています。

 お盆の3日間、親戚の人びとが集まってご先祖様の供養をする行事が「盆招き」だ。夏休み、なっちゃんも、家族と一緒に町から遠く離れた笛吹き山のヒデじいちゃんの家にでかけた。ヒデじいちゃんは、なっちゃんのママのお父さんで、「ホラふき山のおじいちゃん」と呼ばれている。お盆に集まるママの親戚の人たちは、みんなちょっぴり変わっていておもしろい。だからなっちゃんは、毎年の「盆まねき」をとても楽しみにしている。

 物語の本編では「盆招き」の1日前にあたる8月12日から15日までの4日間に、なっちゃんが聞いた話、経験したことを1日1章の形で紹介する。最初はヒデじいちゃんのお話だ。じいちゃんは、今年はかしこいナメクジと夜の虹の話をしたあと、「人をだますのがうそ、人を楽しませるのがホラ」と笑った。フミおばちゃんや大ばあちゃんも月の田んぼや河童のお話をしてくれた。15日の盆踊りの夜、なっちゃんは不思議な男の子に出会うが、その顔がじいちゃんの家の仏壇にあった写真と同じだと気づく。それは、戦死したシュンスケおじさんの子どもの時の写真だった。

 最後の「もうひとつの物語-さいごに本当のお話をひとつ」は、特攻隊で戦死した作者のおじさんの話だ。本編とは独立しているが、おじさんの名前は俊助で、なっちゃんが出会った男の子に重ねている。お盆は、一度死んだ人を心の中で生き続けさせるための行事でもある。平和を願う作者の思いが伝わる。(SJ)
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富安 陽子

とみやす ようこ
1959年、東京に生まれる。小学館文学賞、新美南吉児童文学賞、野間児童文芸賞など受賞。著作に『クヌギ林のザワザワ荘』、『空へつづく神話』、「小さなスズナ姫」シリーズ、『やまんば山のモッコたち』、「やまんばあさん」シリーズ、「ムジナ探偵局」シリーズ、絵本に「オニのサラリーマン」シリーズ(大島妙子/絵)などがある。

高橋 和枝

たかはし かずえ
1971年、神奈川県に生まれる。ステーショナリー会社を経てイラストレーター、絵本作家となる。絵本に『くまくまちゃん』、『トコトコバス』、『うちのねこ』、『あら、そんなの!』、『ねこのことわざえほん』、挿画に『お父さんのバイオリン』(ほしおさなえ/文)、『月夜とめがね』(小川未明/文)などがある。

翻訳出版に関する連絡先

株式会社偕成社
海外版権担当

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