南の方にあるとても小さな島には、おさるたちが住んでいて、「あさ、おひさまが のぼると めを さまし、まず、おしっこを して、ごはんを たべます。それから けづくろいを して、きのぼりを したり、かえるなげを したり、みずあびを したり して、よるに なったら ねむります」と、毎日同じようなことを繰り返している。しかし、1年に1度か2度、大きな出来事が起こる。世界中を旅しているウミガメのおじいさんが、島を訪れてお話をしてくれるのだ。おさるたちは、ずっと遠くの水平線にウミガメの姿を見つけたとたんに大騒ぎとなり、みんなで砂浜に並んで到着を待ち受ける。ところがウミガメのおじいさんは、やっとの思いで砂浜に上がったとたん、疲れはてて眠り込んでしまう。おさるたちは、おじいさんの眠りをじゃましないようにして、また待つ。
老ウミガメがやっと語ってくれたのは、大きな大きな船に出会ったので見とれてしまい、船腹にぽこんとおでこをぶつけたという話。おさるたちは、船のとてつもない大きさを想像して、息を呑む。
あたりまえの日常が世界中で奪われている今、この島のおさるたちが何気ない日常を大事にしつつのんびり暮らしている姿は貴重なものに思われ、また、相手のタイミングを「待つ」様子や、ウミガメのちょっとした話から想像力をふくらませる様子にも好感が持てる。楽しい絵がふんだんに入ったこの絵物語は、常に新しいものや利益や変化ばかりを追求しがちな現代人が忘れてしまったものを思い出させてくれる。(SY)
老ウミガメがやっと語ってくれたのは、大きな大きな船に出会ったので見とれてしまい、船腹にぽこんとおでこをぶつけたという話。おさるたちは、船のとてつもない大きさを想像して、息を呑む。
あたりまえの日常が世界中で奪われている今、この島のおさるたちが何気ない日常を大事にしつつのんびり暮らしている姿は貴重なものに思われ、また、相手のタイミングを「待つ」様子や、ウミガメのちょっとした話から想像力をふくらませる様子にも好感が持てる。楽しい絵がふんだんに入ったこの絵物語は、常に新しいものや利益や変化ばかりを追求しがちな現代人が忘れてしまったものを思い出させてくれる。(SY)