人間に飼われていたシマリスのグリックが、はるかな北の森には仲間のリスたちが棲んでいるという話を伝書バトのピッポーから聞いて、その森を目指して旅をする動物ファンタジー。前半となる「第1部」は、人間の家でいっしょに暮らしていた姉のフラックに見送られ、町のドブネズミのガンバとその仲間たちに出会い、クマネズミとの戦いに巻き込まれつつ、改めて自分の旅を決意するまでが描かれる。安全だが狭いカゴの中や、ごみごみとした町での時間が丁寧に描かれることで、グリックの中で自由や冒険へのあこがれがふくらんでいくのがわかる。
後半の「第2部」では、動物園で出会ったシマリスののんのんとともに、「北へ、まっすぐ北へ!」と走り続ける2人の旅がスリル満点で展開される。畑や丘をこえるときにはネコやノスリに襲われ、台風にもみまわれる。川では乗り込んだ小舟が漂流し、何日も水上を流されてしまう。そして、すでに雪が積もる山をこえるときには、吹雪と眠気が2人を襲う。しかし、母のふるさとへ帰りたいという強い思いを抱くのんのんと互いに励まし合いながら、どんなに傷ついても、びしょぬれになっても、一途に北を目指すその姿は底知れぬ生命力を感じさせてくれる。変化に富んだ風景や擬人化された動物の動きを写実的に描き出す挿し絵も、物語に活力を与えている。
続編に、本作で登場するドブネズミのガンバを主人公とする『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』があり、3部作として親しまれている。(OM)
後半の「第2部」では、動物園で出会ったシマリスののんのんとともに、「北へ、まっすぐ北へ!」と走り続ける2人の旅がスリル満点で展開される。畑や丘をこえるときにはネコやノスリに襲われ、台風にもみまわれる。川では乗り込んだ小舟が漂流し、何日も水上を流されてしまう。そして、すでに雪が積もる山をこえるときには、吹雪と眠気が2人を襲う。しかし、母のふるさとへ帰りたいという強い思いを抱くのんのんと互いに励まし合いながら、どんなに傷ついても、びしょぬれになっても、一途に北を目指すその姿は底知れぬ生命力を感じさせてくれる。変化に富んだ風景や擬人化された動物の動きを写実的に描き出す挿し絵も、物語に活力を与えている。
続編に、本作で登場するドブネズミのガンバを主人公とする『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』があり、3部作として親しまれている。(OM)