
小説
コンビニ人間
文藝春秋(文春文庫)/2018年/176ページ/本体580円/ISBN 978-4-16-791130-0
本作品は中国語(繁体字、簡体字)、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、リトアニア語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、セルビア語、スペイン語、スウェーデン語、トルコ語、タイ語に翻訳されています。
24時間ノンストップで開いていて、飲食物、酒・煙草、新聞・書籍から下着やパンティーストッキングまで扱い、キャッシュディスペンサーやコピー機もあれば、宅配便の集荷も行う。それらすべてがごく狭い空間に凝縮され、マニュアルに基づく接客が徹底している。もはやコンビニ抜きでは日本人の生活は考えられない。しかしそこで働く人間の思考や感覚が文学の主題として掘り下げられることは、これまでほとんどなかった。
この作品は初のコンビニ文学としての栄誉を担う。主人公は、20年近くコンビニでバイトを続ける女性。腰掛け仕事でしかないはずのコンビニのバイトをそんなに続けていること自体、周囲からは「普通」ではないと見なされてしまう。しかし幼いころからずっと社会に適応できなかった彼女は、コンビニに初めて自分の居場所を見出し、効率性に縛られ仕事に追われる状態に充実感を覚える。彼女にとってはコンビニより「普通」の社会のほうが息苦しいのだ。
「性別も年齢も国籍も関係なく、同じ制服を身に付ければ全員が「店員」という均等な存在だ」。コンビニに逆説的なユートピアを見出す本作品は、ユーモラスな語り口に鋭敏な現状批判を秘め、未来の日本を見据えている。(NK)
この作品は初のコンビニ文学としての栄誉を担う。主人公は、20年近くコンビニでバイトを続ける女性。腰掛け仕事でしかないはずのコンビニのバイトをそんなに続けていること自体、周囲からは「普通」ではないと見なされてしまう。しかし幼いころからずっと社会に適応できなかった彼女は、コンビニに初めて自分の居場所を見出し、効率性に縛られ仕事に追われる状態に充実感を覚える。彼女にとってはコンビニより「普通」の社会のほうが息苦しいのだ。
「性別も年齢も国籍も関係なく、同じ制服を身に付ければ全員が「店員」という均等な存在だ」。コンビニに逆説的なユートピアを見出す本作品は、ユーモラスな語り口に鋭敏な現状批判を秘め、未来の日本を見据えている。(NK)

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